第11話 暗殺者の本領
俺達が隠れて僅か数秒後、追手と思しき者達が地面に着地。
どいつもこいつも簡単に空を飛べる事にはなるべく意識を向けないようにしよう。
追手の数は全部で4人。
先程よりも少ないが、4人全員がそこそこ強い。
特に1番初めに着地したローブを被っていない、30代くらいの屈強な男は姫花と同等程度の強さかもしれない。
だが、魔力量は圧倒的に姫花の方が上なので、負けることはないだろう。
だがこう言う奴らは基本的に連携が上手く、格上相手にも善戦をする事が出来るのだ。
あくまで予測だが。
追手の1人が屈強な男に話し掛ける。
「玄武様、此処が最後に連絡が途切れた場所です」
なるほどね、あの屈強な男は玄武と言うのか。
恐らく『魔神教』の中でも相当な立場の者だな。
それ程姫花を捕らえるのに本気と言うわけか。
「ふむ……見た感じ何も痕跡が無いな。今まで『災厄の魔女』に殺された者達もこうだったのか?」
玄武が辺りを注意深く観察しながら部下に訊く。
「いえ、今までは死体は処理されておらず、そもそも殆どが殺されず、体の一部を失ってそこら辺に転がされています」
「……なら『災厄の魔女』とは別の人間がやったと言う事か……」
チッ……下手に死体を処理したのがまずかったか……暗殺者として死体処理は当たり前だったからつい体が動いてたな。
だがまだ誰がやったのか分かっていないのなら僥倖。
俺は一般人とされているので狙われる心配もなく、姫花を狙う、又は守る者が居ると分かれば無闇に手出しは出来ないはずだ。
それに敵の最高戦力が意外と弱かったのは不幸中の幸いだな。
さて……そろそろ此処から去るとするか。
俺はゆっくりと影の中に入り、姫花と共に家へと戻った。
「……ん?」
「どう致しましたか玄武様?」
「……いや、どうやら俺の勘違いだった様だ。一瞬小さな魔力反応があったと思ったらすぐに消えたのだ」
「なら恐らく動物では? 偶に無意識に大概へと魔力を放出しますし」
「……そうだな。取り敢えず使徒様に報告するぞ」
「「「はっ!!」」」
こうして『魔神教』の者達も帰っていった。
▽▲▽
———次の日。
俺達は変わらず学校へ登校していた。
「それにしてもお兄ちゃん強すぎ。気づいたらいつの間にか敵が死んでるんだもん」
「まぁアイツらが弱すぎるだけだ。正面から戦えば勝てない相手は沢山いるぞ? それこそ俺の仲間とかな」
「もうその人達くらいの強さの人が地球には居なさそうで、私安心している所なの」
そう言って胸に手を当ててふぅ……と安堵のため息を吐く姫花。
周りの男が見ているからやめなさい。
流石魅力97、レベルが違うな。
「……誰かにつけられてるね」
「おっ、姫花も気付いていたか。流石俺の妹だな」
「もうっ! 頭を撫でるの止めて! 髪型が崩れちゃうでしょ!」
姫花が顔を真っ赤にして俺の手を払い除けると、ツインテの髪を手鏡を取り出して確認していた。
そうだな、外では頭は撫でない方がいいかもしれん。
「……それでどうするの?」
「姫花は何もしなくていい。強いと言えば気付いていない風に装っていてくれ。俺が処理する」
「分かった」
そう言って俺達は気にせずいつも通りの道を歩いていく。
そして通学する中で唯一の曲がり角を曲がる瞬間に俺はつけていた男の後ろに移動。
気付かれない様に幻影結界を張り、周りには男が居ないものだと思い込ませる。
「此方信者11956。未だ気付かれていない模様。引き続き追跡を続ける」
『了解。では頼む———ブツッ』
俺は男が通信機を切った瞬間にその頸動脈を短刀で切断。
「———ガッ!? き、貴様は———」
「———おやすみ」
俺は男を処理すると、自分の影に沈める。
血は既に影が吸収しているので、其処は何も痕跡が残らない。
更には姫花は気付いていないが、此処から3キロほど離れた廃墟ビルに【影転移】で移動し、ずっと俺達を観察していた男の近くの影から出る。
そしてゆっくり音もなく真後ろに移動すると———
「———来世ではどうか幸せを」
「———ッッ!?」
首を落として、先程と同じ様に影に沈める。
これで俺達を監視していた奴らは処理し終わった。
それじゃあ戻るとしよう。
俺は再び影に潜ると、姫花の影から出る。
「———お待たせ姫花。それじゃあ行こうか」
「うん」
俺達が歩き出す頃にはいつもの朝へと戻っていた。
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下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。
偶に2話投稿するかも。
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