第10話 姫花のステータスと追手
「意味分からないんだけど!? お兄ちゃんが異世界帰りの暗殺者!? 魔王討伐者? お兄ちゃん少し現実を見たら?」
姫花がよく分からない情緒でそう宣う。
「酷いな姫花は。でも事実だからそうとしか言えないぞ。なら姫花のステータス見てみるか?」
「す、ステータスってラノベの定番の!? 私も見れるの!? み、見たい! 見せて見せて!」
「分かったから落ち着けって。なら姫花、俺が魔力を少し流すから、流れてきたら『ステータス』と唱えてみてくれ」
俺がステータスを見れるのは、異世界の加護的な物があるかららしく、もし家族や友達のステータスを見せたいなら俺の魔力を流せばいいと言われた。
正直全く意味が理解出来なかったのだが、取り敢えずやってみるとしよう。
俺は姫花の背中に触れて魔力を流す。
「———ひゃっ!? んっ……い、いきなりしないでよっ」
姫花が顔を少し赤くしてくすぐったそうに身を捩る。
や、やめろよ……ちょっとエッッッな声を出すなって。
俺は妹のエッッッな声を聞き、物凄い気不味くなりながらもゆっくり少しずつ流していく。
どれくらいの流せばいいのか分からないが、取り敢えず言わせてみるか。
「よし、それじゃあ『ステータス』って言ってみてくれ」
「……んっ……う、うん……『ステータス』」
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鈴木姫花 15歳 女 異世界人
【職業】魔女(消滅)
【身体ステータス】
【体力】800/800
【魔力】4400/4400
【筋力】150
【防御】125
【敏捷】130
【器用】300
【知力】520
【魅力】97
【幸運】75
【スキル】
《魔力操作》《魔力感知》《隠蔽・極》
【魔法】
《消滅魔法・極》
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「「…………」」
お互いに姫花のステータスを見て黙る。
黙る俺に姫花が問い掛けた。
「お兄ちゃん……これはどうなの?」
「……すげぇ……流石俺の妹だな! 特に魔力! 魔力量が頭おかしいくらい高いぞ!」
この魔力量は俺の初期魔力量の3倍近くある。
異世界で言えば賢者の初期値とほとんど変わらない。
と言うか魅力が97とかほぼカンストじゃん。
魅力は外見を示しており、高ければ高い程いい。
要は、女子なら高いければ高いほど、顔が整っており、スタイルが抜群、ついでに言えば……エッッッも上手い。
ま、まぁそれは俺は一度も体験した事ないので、聞いた事があるだけだが。
聞いた事があるだけだが!
それに他のステータスもこの世界の奴らに比べると大分高い。
「そ、そうなの……? イマイチ他の見てないから凄いのか分からないなぁ……あっ、ならお兄ちゃんのも見せて!」
姫花が俺にキラキラとした目を向ける。
その瞳には明らかに期待の色が色濃く宿っており、断ってその顔が暗くなるのは、お兄ちゃんとしては絶対にしてはいけない。
「わ、分かった」
俺は姫花の期待に応えるため、少し恥ずかしかったが、誰にも聞こえない様に『ステータス』と呟く。
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鈴木闇夜 17歳 男 異世界人
【職業】暗殺者(極)
【身体ステータス】
【体力】36700/36700
【魔力】16400/16400
【筋力】7400
【防御】6200
【敏捷】9999
【器用】9999
【知力】8530
【魅力】82
【幸運】85
【スキル】
《暗殺術・極》《気配感知》《隠密》
《透明化》《適応》《忍び足》《冷静》
《身体強化・極》《限界突破》《魔力操作》
【魔法】
《炎魔法・強》《水魔法・強》
《風魔法・強》《地魔法・強》
《光魔法・中》《闇魔法・極》
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「えっ……強すぎて逆に引く……」
「見たいって言ったの姫花だろ!?」
引かれるとめちゃくちゃ傷付くんだが……。
俺が傷付いている間も姫花は興味深く俺のステータスを観察していた。
俺のステータスを見て何が楽しいのか知らないが、時折ニコニコしている。
「お兄ちゃん頑張ったんだねぇ……私もお兄ちゃんくらいになれる?」
「勿論だ。俺が強くしてやるよ」
上目遣いで俺に聞いてくる姫花にグッとサムズアップで答える。
俺の言葉に更に笑顔になる姫花の姿には癒しを感じるね。
家の妹マジ天使。
「尊い———ッ!?」
「ひゃっ!?」
俺が姫花に癒されていると、此方に向かってくる超常者の気配を感じた。
俺は即座に、未だステータスを見続けている姫花をお姫様抱っこして【隠密】と【透明化】を発動して森の中に隠れる。
姫花には申し訳ないが、少し黙っていて貰おう。
……死体は処理したが……何かミスっていたか?
いや、魔法の気配も無かったし、連絡が途切れたとかかもしれん。
もしかしたらと思って此処で待っていて正解だったな。
しかし、俺は面倒な事になったな……と舌打ちしながら魔術師の出現を待った。
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下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。
偶に2話投稿するかも。
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