いいわけ

深海くじら

文字数合わせ。

 KACを初完走した。

 いや、そもそもカクヨムを、もっといえばWEB小説を書き始めたこと自体が昨年一月なので、気づきが遅かった昨年などは、最後コーナーで二作ほど放り込んだのが精々だった。だから実質初挑戦。


 今回のKAC七題はSF短編の連作という形をとった。もともとが小さなドラマを好む傾向があるから、短編の執筆自体は嫌いではない。だが連作となるとどうだろう?

 連作というのは、それぞれが独立するドラマの全てを透徹する一本の軸を持つ物語集を指す。そしてその軸は、大きく分けて二種類ある。

 ひとつはキャラクターの共通性。古くは石原藤夫先生の『惑星シリーズ』。惑星コンサルタントのヒノとシオダのコンビが様々な惑星に降り立って何かする、というハードSF黎明期の傑作だ。昨今のラノベでも、このキャラクター共有型連作は多くみられる。

 もう一方はテーマの共通性。事件でもいいし事象でもいい。軌道エレベーター城下町で働く女性たちのオムニバス、小川一水先生の『妙なる技の乙女たち』などはその白眉といえよう。

 ちなみに両方を取り込んでしまうと、それはもう連作ではなくてひとつの作品に峻別されるだろう。西尾先生の『刀語』や新井素子女史の『ひとめあなたに』等。


 で、僕である。

 正直言って、キャラ造形はあまり得意でない。長い物語の中で少しずつ解像度を上げていく、という手順が多いため、最初からドーンみたいなことが苦手なのだ。

 それに対し、テーマの方ならなんとかなりそうな気がした。テーマというより何か大きな、多方面に影響を与えるひとつの事件、みたいな。


 地球でも壊してみるか。





 書き終えて云えることは、「自分、偉かったな」だった。広げた風呂敷をよくぞちゃんと畳むことができたもんだ。実に感慨深い。その感覚は、一夜明けてさらに深まっている。



 そんなわけなので、連載の方の再開はもう少しだけお時間くださいね。

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