延命の
拳を握ったり、指を端から順に折り曲げてみたりする。
そのかげを、観察する。
確かに、まだ自分がここに存在していると点検するように。
男は光が消えてしまわないように努めた。
暗闇を愛する事なんて
どうしても出来っこないのだ。
いつまでこうしているのだろう、と男は思った。
同じように、いつからこうしているのだろう、とも。
その手遊び(のようなもの)をしている間、男はほとんど生きた心地がしなかった。
機械的な時間が過ぎていった。
正確に噛み合うよう調節された歯車が、利口に動き続けるように。
しかし、幾らかの季節を経て、植物が枯れ、コップの水分がさっぱり蒸発し、日が昇って沈んでしまうと、なんだか馬鹿ばかしく思えてきた。
男は確かに欠けていったが、それを修復する気は、もう、ほんのかけらも無かった。
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