【KAC20237】くらげ鬼
武江成緒
くらげ鬼
青池
「田ンぼに落ちて着物をよごしちまったのは、おれのせいじゃねえ。足元で
「
「隣の
どんなに手ひどく
なに思ったか夜中にふらりと家の外に出、村のはずれの地蔵堂のお灯明をひっくり返し、村の鬼門を
今度ばかりはただでは済まぬと大人たちに取り囲まれた蔵太の口から出てきたのは、ひときわ
「おれが夜中にさまよい出たのはお月さまに呼ばれたせいさ。
天にのぼったお月さまが銀の光でおれを起こして、
月の光りに腕をひかれて足とられ、お堂まで連れてこられたあげく、私ばかりが光っているのはつまらない、それそこにある灯明とって、お前も光りつ踊るがよいと、おれの手とってお灯明を握らせたのがしくじったんだ」
あれだけ大それたことをして、お月様に
骨まで叩きのめされて、足はふらふら、背はゆらゆら、くらげのような有り様ながら、それでも何やらぶちぶち言い訳こぼしながら、当てなくふらつきゆく蔵太。
ふと気づく。手も足も、何かにとられて
―― 私ばかりが光っているのはつまらない
―― それそこにある灯明もって、お前も光りつ踊るがよい
ふしぎな声に耳くすぐられて見上げると、いつの間にやら空には輝くお月様。
ふと見ると、右手に持った燭台には、おなじく銀の
もはや言い訳吐くこともできず、ただただ泣き声あげながら、
月の明るくかがやく晩に、銀の光を映しながら、ぐにゃりぐにゃりと夜空を踊る
【KAC20237】くらげ鬼 武江成緒 @kamorun2018
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