ついてねえ、まったく…

高柳孝吉

ついてねえ、まったく…

 好きなバンドのファンクラブの今回の締切が、入ろうとした日に既に一日過ぎていた。活動30周年の記念すべきコンサートの優先チケットの予約に、欠かせない事だった。裕也は、慌てて、仲間にコンサートの一般予約を頼んだ。そいつとローチケを受け取る為に、ローソンに向かって道を歩いていたら、そいつから電話が来た。ーー落選したとの事だった。

「ついてねえな、まったく…」

裕也は道を引き返し、アパートへ引き返した。後ろで、轟音がしたが、構わず歩いた。

 ーー裕也が渡る筈だった横断歩道で、トラックが信号機に追突したのだ。そのままローソンに向かっていたら、裕也は死んでいただろう。

 裕也は、アパートへと歩きながら、呟いた。

「ついてねえなあ、まったく…」

 

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ついてねえ、まったく… 高柳孝吉 @1968125takeshi

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