第17話 レギュラー発表
チャイムが鳴り、学期末試験が終わると、さっかと部室へ向かう。
部室に向かう途中で、着替え終えた3年生たちがグラウンドへ向かうところを目撃する。
「すぐに向かってきたのに、もう着替え終えてるって、どうなってんだろ。」
そう呟きながら、部室に入ろうとすると、新田とかち合う。
「先輩たち、もうグラウンドへ行ったな。さすがに最終学年だけあって、気合が入ってるよ。」
先週の土曜日に組み合わせ抽選会が行われたのもあるのだろう、試合前の緊張感が出てきている。
3年生たちの気持ちの入り方が強く、1、2年生にも影響を与えているようだ。
そして、試験後最初の練習日となる今日は、レギュラーが発表される。
ちなみに、ベンチ入りできるのは16人までなので、2人が落ちる。
おそらく、2人とも1年生になるだろう。
着替えを済ませてグラウンドに向かうと、いつものように投球練習を始める。
計算では、今週で129kmになるはずだ。
来週から地区予選が始まるというのに、130kmにも満たないが、大丈夫なんだろうか。
そんなことを考えながら練習を進めていると、金沢主将から集合がかかった。
駆け寄ると藤堂先生もいる。
先生と関係を持ってからというもの校内で会うと、心が踊る反面、普段どおり過ごさなくてはと緊張してしまう。
「来週から地区予選が始まるので、レギュラーを発表します。」
そう主将が言うと、藤堂先生がメンバーを読み上げる。
「投手、横山君。」
「はい。」
「捕手、飯島君」
順当に先輩たちが呼ばれていく。
新田は捕手に選ばれなかったので、外野手になるのだろう。
「レフト、畠君。」
「はい!」
(よし、選ばれた!前半はレフトに着きつつ、後半はマウンドに立つ流れを想定しているんだろうな。)
そう理解しつつ、レギュラー発表を終えたので、また投球練習に戻る。
(必ず、甲子園に行って、優勝をするぞ。)
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「ねえ。このゲームにクリアってあるの?」
練習が終わった後、先生の家に向かい、今は先生が、ベッドで横になりながら聞いてくる。
右腕で腕枕をされているのだが、少し甘えるような表情をしており、可愛らしい。
先生はゲームをやりこんでないと聞いていたが、クリアをしたことがないようだ。
「甲子園に優勝すれば、エンディングになるよ。ただ、高校生活は3年間あるから、1、2年生で優勝すると、『ゲームを続けますか?』って表示が出るから、続けることもできるけど。」
「そうすると、甲子園に優勝すれば、元の世界に戻れるってことは、あるのかしら?」
「可能性としては、あるかも。由佳は戻りたいの?」
先生と関係を持ってから、2人でいる時は、由佳と呼んでいる。
「峰行といる時間は好きだし、悩むけど、戻れるなら戻りたいかな。でも、戻ったとしても、峰行と会いたいな。」
「そっか。」
(先生は、元の世界に戻りたいんだな。)
先生との関係は楽しいし、野球に打ち込める今は、元の世界では経験できなかった青春そのものだ。
(ただ、ずっとこのまま、という訳には、いかないよな。)
もやもやした気持ちのまま、来週から、地区予選が始まる。
友人キャラ甲子園優勝を目指す 相沢俊伸 @toshi_a
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