千佳が迎えた七回裏。アンラッキーは突然に。

大創 淳

第六回 お題は「アンラッキー7」


 ――そして連想するものは、まさしく七回裏。



 晴れ渡る青空の下で響く歓声。黄色と黒のユニホーム。チームの名も『ラッキー・タイガース』だ。三回裏からラッキーな運びとなって、点数差も広がった。


 それが僕らのチーム。

 まさにラッキーの上で成り立ったようなチームだ。


 即席仕上げの寄せ集め。誰一人とルールを知らない。だったら、僕らは何の試合をしているの? と、問うと、迅速に返ってくる答え。それはソフトボールだった。


 薄々ながら、ルールを知っているシャルロットさんがキャプテンでキャッチャー。それに便乗して投げているピッチャーの葛城かつらぎしょうさん。何だかんだと翔さんに文句をばかりの梨花りかはショート。可奈かなはサード。僕はファースト。なら、セカンドは? その場凌ぎで天気てんきちゃんが入っていた。ボールは、何故か僕の方ばかりに飛んでくる。


 でも捕る。


 フライだって捕れている。しかも、バッターをアウトにしてきたのも、殆どが僕だった。僕はソフトの経験は……授業以外にしたことはなかった。しかも戦力外。


 いつの間に上手くなった?


 それにそれに歓声が、僕を褒めてくれているではないか。


 攻撃になると、翔さんが切り込み隊長のように攻めてゆく。一番バッターらしく二番は僕だ。バットを構えて振る。投げてきたと同時に、とにかく振る。球が飛んでくるコースなんて見ている余裕などなく当たる。バットに当たる。偶然としか言えないけど、すでに四回目。しかも塁には翔さんと、その前に俊足の天気ちゃんがいた。チャンスな場面だ。


 しかも今、七回裏。風船たちが音を立てて宙を舞っている。某球団のようなシチュエーションで盛り上げつつ……走る、無我夢中で走る、ベースまでもう少しだけれど、足が縺れて見事に転ぶ。まるで蛙のようにベタッと地面に顔も着けて。その間にアウトとなる。


 気付けばバブルが崩壊したように、点数差もなくなり逆転される一途を辿った。





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千佳が迎えた七回裏。アンラッキーは突然に。 大創 淳 @jun-0824

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