第18話 怒られてもへっちゃら

一緒にいた方から胸に斬られた村人は奥の部屋に連れていかれエルデばあちゃんと対峙しています。


「考えもなしに突っ込む孫はジャックだけだと思ったんだがねぃ」


ぉぉ、こわい。

そしてジャックのディスり。孫をよく見てらっしゃる。

でもさ、普通動くじゃんね?

あのままだったら死人が出てたかもしれないし!!

ほら、無傷でしょ?余裕っすよばあちゃん〜……

いやぁ打つ手なし。

目が座ってらっしゃる。


「…ごめんなさい」


いろいろ考えたけど素直に謝った。

どう切り返したところでまだまだ子供ですから。


「はぁ、怒っても仕方がないか」


頭にそっと手を置いて撫でてくれたエルデばあちゃんは「心配したよ」と小声で言った。


「ごめん、まだおじさんの治療があるから!」


撫でていた手を強引に握手にしてまっすぐエルデばあちゃんを見て言ったら「行っといで」と送り出してくれた。


走って奥の部屋に入ると服を脱がされ汗だくのおじさんが板の間に仰向けで荒く息をしていた。


傷は深くはないがどうやらあの刃物は刃こぼれをおこしていてノコギリ状に斬られたようで名刀の切れ口より痛い仕様になっていたようだ。


本当はのたうち回るほど痛いだろうに我慢強い人だなぁと感心していた。もちろん、子供に見せるもんじゃないとか外に出てろとか言われたけどそこのいた。


たぶん自分なら役に立てると思っていたからだ。


「ちょっと我慢できます??」


おじさんに問いかける。

麻酔とかないもんね。医者がいなけりゃ治療だってできない。道具もない…でも、道具があっても使い方わからないから意味ないか。


治るイメージは難しく、ゲームのような回復魔法はない。でも要はイメージができればいいんだ。

自分が魔法を使えると喜んでいたけど兄さんたちのような魔法じゃなかった。その才はないんだと感じた。

イメージの具現化が自分のできる神様からのギフトだとすれば治すというより。これがしっくりくる。


怪我は無い、まず斬られてない。痛みはなくいつもの畑作業をしているところ…。

そう考えて自分の体に置き換える。うっすらと白く光るおじさんの体は傷口は逆再生のように塞がり汗は退いて呼吸が落ち着く。


「な、にを??」


目を大きく広げて見てくる…。

スクっと座り直して両手を交互に見る。


「えっと…」


「おっけ!大丈夫そう」


服はそのまま、ゴメンやで!ババっと外へ向かって走り出す。

向かうのはもちろん賊さんのところだ。


「ストップー!」


そのまま村長たちに任せてたら案の定生き埋めにしようとしてた。

あっぶね。


「ん、なんだ?こいつらを今から「大丈夫!」━━」


顔がボコボコの賊さんにそれぞれ頭に触れて経緯を読み取る。


黒髪の頭と呼ばれていた人はイスタさん。街を子供の頃焼かれたイメージが強く伝わってくる。

たぶん、戦火に巻き込まれたんだろうけどその後は山に隠れて生活していたようだ。

衣服はどこで…あぁ、おいはぎね。

あとの二人は孤児で面倒を見ていたと?偉いじゃん。


緑髪の青年はトト。茶髪の女性はミミ。親はいない、頭のイスタさんについてきたって感じか。


怪我人はいたけどもう大丈夫だし。

ここは一つ。


「すいません、やっぱ無しで」


「何がだ?」


「まずは抵抗もしないので出しますね」


なにを?と疑問が顔に出ている村長たちにそのままノームさんに埋めた三人を出してもらう。


「うお!」


突然、埋められた場所の地面に出された三人は困惑していた。


「三人を許したいと思います」

ピコーン!


村の入り口で何か鳴ったような気がした。

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今回はボクも行くね もちた企画 @mochitakikaku

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