学生トーク「アンラッキー7編」

山田 武

学生トーク「アンラッキー7編」



「──アンラッキー7についてどう思う?」


「……いや、さも当然みたいに言うなよ。聞いたこと無いぞ、そんな単語」


 いつものように始まった会話、しかしこれまでとは違った流れに。

 これまでは友人が最初に話す内容に、納得が(ギリギリ)いっていた。


 だが今回はどうだ、まるでどこかの誰かがふと湧かせたような造語。

 それでも会話を続けようと、少年は造られた言葉を噛み砕きながら読み解いていく。


「まあ、ラッキー7のアンラッキー版……つまり不運な7みたいなことか?」


「らしいな。けど、不吉な数字って言ったらこう666みたいな感じだろう?」


「そうなんだろうけど、今回は7を指定しているわけだし……幸運の象徴っぽい7でありながら、不運を引き起こした7について考えるってことなんだろう」


「…………いつも通り、スマホに任せるか」


 そうしてスマホを使い、いつものように検索を行うのだが……ピタリ、とその手が止まる様子に友人は首を傾げた。


「ん? どうしたんだ」


「……有った」


「はっ、何がだ?」


「…………アンラッキー7」


「マジかよ!?」


 友人の反応はスルー、少年は検索結果を吟味する。

 そこにはたしかに、造語と思っていた単語の意味が記されていた。


「西暦の一の桁が7の時、不景気になることみたいだ。1987年、1997年、2007年って具合にいろいろあったみたいだな」


「全然覚えが無いな……」


「俺たちの日本史や世界史の点数が低い理由も、その辺が関わってるんだろうな」


「うぐっ……教科書、あとで見てみるか」


 今、ではなく後な辺りそこまで見る気が無いことは明白だと思う少年。

 だが、それとは別に今回の話はとても少年にとって意義のある話し合いだった。


「何というか……自分の常識で物事を図るのはダメなんだな」


「急にどうした?」


「いやほら、あるわけないだろうって思った言葉があったわけでさ。今までのお前の話は何だかんだギリギリ俺の理解の範疇だったけど、今回は違ったわけでさ……うん、少し反省するよ」


「ふっふっふ、なら俺に感謝しろよ」


「──絶対しねぇから」


「なんでだよ!?」


「まあ、分からないことはすぐに調べるってのは重要だな。少なくとも、調べないよりかはやるだけマシって感じでさ」


 次のアンラッキー7は2027年。

 つまり数年後、彼らの生きる世界に何が起きるのか……彼らはまだ知らない。


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学生トーク「アンラッキー7編」 山田 武 @yahhoo

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