KAC20236 アンラッキー7

橋元 宏平

ラッキーセブン

 平成七年七月七日に、俺は生まれた。

「七並びで、縁起が良い」ってんで、付けられた名前は七男ななお

 この名前のせいで、「ひとりっ子なのに、七男?」と、しょっちゅう聞かれる。

 ネーミングセンスなさすぎだろ、親父おやじ! 一生恨むっ!

 スリーセブンだからといって、別に俺はラッキーマンって訳でもない。

 家は金持ちでもなければ、貧乏でもなく、普通の一般的な家庭。

 大学は一応出てるけど、田舎の三流大学で、頭もあまり良くない。

 日本人特有の胴長短足どうながたんそくで、ぽっちゃり体型。

 顔は、どちらかというとブサメン。

 男友達はいっぱいいるけど、彼女が出来たことは一度もない。

 恋愛経験もゼロで、もちろん童貞。

 俺も今年二八歳で、三十歳童貞へのカウントダウンが始まっている。

 三十歳童貞だと、魔法使い。

 三五歳童貞だと、妖精が見えるようになる。

 四十歳童貞だと、妖精の仲間入り。

 四五歳童貞だと、天空人。

 五十歳童貞だと、大魔導士。

 五五歳童貞だと、神の領域。

 六十歳童貞だと、不老不死になれるらしい。

「もういっそのこと、童貞貫いて、不老不死になってやろうかな」

 俺がそう言ったら、高校時代からの友人達が、

「お前は確かに、ブサイクはブサイクだけど、犬の『パグ』みたいな愛嬌あいきょうのあるブサイクだから大丈夫だぞ!」

「ヘタなイケメンよりも、ちょいブサなくらいの方が、結婚早いっていうじゃん」

 と、フォローにならんフォローをしてくれた。

 コイツらはコイツらなりに、俺を慰めようとしてくれているのだろう。

 ありがとう、お前らは良いヤツだ。


 背もない、金もない、頭も良くない、イケメンでもない。

 ないないくしの俺を、他人ひとは「アンラッキー7」と、バカにする。

 他人なんかに、俺の何が分かる。

 他人が勝手に、俺を「アンラッキー」と決めつけるな。

 俺は自分を「ラッキー」と、思い続ける。

 そしていつの日か、誰もが俺のことを「ラッキー7」と、うらやむような人間になってやる!

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KAC20236 アンラッキー7 橋元 宏平 @Kouhei-K

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