奇数はめでたいと言うけれど【KAC2023】

小余綾香

第1話

 祝儀袋に入れるお金は奇数、偶数は縁起が悪いから。

 社会人になって何年か経つと、こんなことを日本人は常識としたりする。最早、祝儀袋を使わずキャッシュレスなんて話もある時代、いつまで常識でいられるか判らないが。

 そんな令和に、廃れかけている文化を少々。

 奇数がめでたい、という考えは陰陽の概念に基づく。万物を陰と陽に分け、天空系の「陽」に属すると清明で縁起が良く、大地系の「陰」は暗黒で不吉っぽい感覚。


 ――昔の人は陰キャに厳しい、そこまで迫害しなくても。


 はい、そう思った貴方、被害妄想……いえ、勘違い。

 基本的に陽がめでたい、と言っても陽ならば良い訳ではない。寧ろ陽が集まると偏り過ぎて不吉だ、となる。だから、陰の要素を加えるのだ。

 陽キャが集まり、変なテンションに引っ張られて危なっかしいところを想像しよう。ノリの悪い陰キャがいることで暴走を避けられる。そんなイメージで良い。


 で、数字の話になる。奇数が陽なだけでなく、「大きい」「増加」という概念も陽に該当する。

 陽キャは集めちゃ駄目論でしたよね。そう、大きい奇数自体が陽を集めているに近い。三より五、五より七、七より九が陽の勢いが強くなって行き、めでたいのだけれども、めでた過ぎて不吉という面倒臭い考え方になる。

 ラッキーセブンなどと喜んでいる場合ではないのだ。


 基本的に七などと言う数字は日本的には厄介。大きな吉である分、扱う人間の技量が問われ、器量が足りないと勢いに負ける位の意識で今は充分だろう。

 七七七など何の呪いか、と思っておくと、強過ぎる陽の気によって滅びずに済むかもしれない。


 という訳で、他人にあげるお金も多ければ良い訳ではない。そういうことにすると少額をあげることに心が痛まない。

 君はそんな器ではない、と言われたと思って気分を害されても私は責任は取れないが。普通の現代人はそこまで気にしないだろう。私以外😋

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