KAC20235 僕の人生を変えた、たぶん最後の出会い。
久遠 れんり
なんて骨体
俺が務めは、小規模な建築資材会社。
断熱材と、クイック施工の耐震部材がそこそこ売れている。
ある日。社長が急遽みんなを集めて一人張り切る。
「これからの会社は、継続的開発つまりSDGsにそった方向で、未来を考えなければいけない。わかるな。だから、そうだな君。渡辺君。すぐに田舎の山へ入り会社の目標を見つけてきてくれ。良いか継続的開発に成りえるものだ」
一番前に並んでいたのが、運の尽き。
名札を読まれて、ご指名を頂いた。
俺はすぐに、上司や同僚の方々全員に、万歳三唱で送り出された。
いや、言い訳はされたよ。
「渡辺君、君は若くて独身だ。山での散策か、それも給料をもらって。いいなあ、家族がいなければ代わりたいくらいだ」
課長からは、
「わが社の命運を、君に託す。任せたぞ」
とかさ。
そんなこんなで、取引のある製材所が建っている、四国の山の中へと到着。
紹介された、住所に立つ家。
田舎だと、役場があっせんしてくれるらしい。
鍵を開けて、中へ入ると意外と綺麗? いや人の気配がする。
「どちら様ですか?」
中学生くらいの、女の子が出てくる。
「あれ? きみ誰?」
「はい? 人の家に来て、きみ誰って? おかしいでしょう。おかーさん。詐欺の人が、家にも来たよー」
事情を話して、納得をしてもらう。
家賃折半で話を付け、2人も3人も一緒だからと、食事も頂けるようになった。
その晩、奥さんに誘われ、ムフフなことも。
1週間後。
姿を見せない俺を心配して、製材屋さんが様子を見に来た。
おれは、両脇に白骨死体を抱えて、寝ていた。
発見当時、近くに錆びた包丁があり、俺の膝から下はほぼ骨になっていた。
どうやら、うまいと言って食っていたのは、自分の足だったようだ。
おかしくなっていた時は、うまかった記憶があるが、今喰ったら俺の『筋肉』はどんな味なんだろう? たまに無性に試したくなる。
ああ、あの家はすぐに更地にされたそうだ。
KAC20235 僕の人生を変えた、たぶん最後の出会い。 久遠 れんり @recmiya
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