応援コメント

すべてのエピソードへの応援コメント

  • >曾祖父は地面と激突する瞬間、祖母を守るために体の向きを変えたようです。

    これはまあわかります。反射的に子供を守ろうという本能があるので。
    でも、これを意図して「自分が死ぬかもしれないからやめとこう」って判断できる人間はいないと思うのですよ。ワゴンに撥ねられながらですからね。

    >「考えてみてください。まるで同じ事故だったんです。時間、場所、登場人物の性別から年齢、関係性にいたるまで」

    ここも謎です。平行宇宙でもまるで違ってることがあるのは、ここまでの説明でも何度も数出ていますし。
    カスミが〈あちら〉の事故状況を調べた上で語ってるならわかるんです。
    でもそんな素振りもなく、状況的にも不可能だと思われます。
    向こうのマキセさんが許すはずもないでしょうし。
    その部分が引っかかったままなので、長文の説明もひどく空々しく思われます。

    カスミが暴発したのも、心情は多少理解できますが、性格的に見ても、「なぜここで爆発するのか」って感じです。
    思うにこれは、オオノの描写不足に起因するのではと。
    オオノの何気に高圧的な部分などは、カスミが語りで触れているだけで、具体的に物語に出てきません。
    カスミへの要求も、曽祖父が望む程度のもので、向こうに引き止めるでもなし、老人のわがままとしては可愛いレベルのものですし。
    ここでカスミの昂りを読者に共有させるのであれば、オオノの動きをより不愉快気味に描写した方がよかったと考えます。それこそ強引にこちらにカスミを住ませる手続きを始めるとか。

    >「カスミさんのお祖母さんはきっと、お二人が仲互いされたままなんて望まないと思いますよ」

    私が四話目を読み終えて思っていたのは、
    「祖母が生きてたらなんて言うでしょうね」だったので、ほとんどまんまで出てきて驚きましたw
    この台詞自体は正鵠を射たもので、とてもいいと思いますよ。

    ただ、これを言い出すのがマキセというのがどうにも……他に登場人物がいないとはいえ、かなり違和感があります。人間関係構築した描写もないし。
    マキセの過去が語られたりしますが、それ以前に仕事上の関係ですよね?それも政府中枢に近い? と思うんですが。
    ここだけいきなりふわっふわになるのは、ちょっといただけない気がします。
    自分の立場を知った上で、あえて一言……もちろん政府に都合がいいとわかった上で。
    くらいのスタンスで言った方が、世界観的にも納得いったような。


    以下、全体の感想です。

    あらすじからSFテイストのヒューマンドラマなのかなと読み始めましたが、内容的にも文章的にもSF方向に寄せた作品でしたね。
    語られるカスミの心理に、情と呼べる感覚が乏しく、ハードボイルドといってもいいかもしれません。

    それが最後にいきなりヒューマンドラマに着地して、面食らいました。
    当初求めてたエンドは確かにこれなんですが、過程がすっ飛ばされた感じです。
    読み返しても、カスミがどういう人間なのか、何を大事にして生きているかという部分が描かれていません。こんなに自己分析しているので、おそらく意図的にだと思いますが。
    それゆえ、望んだはずの結末が、どうもしっくりこなかった、というのが偽らざる感想になります。

    導入部分、話の骨子は魅力的で、非常によく出来てると思います。
    カスミの慎重すぎる性格も、世界観的に、みなそういう感じで生きてるのかなとか、想像で補っていました。SFだし。相手がマキセだし。

    いずれ話が進むにつれて、カスミの内面が描かれるのかなと思っていましたが、そういう展開でもなく。もうハードボイルドで終わるのかなと思いきや、滑り込みでヒューマンドラマになるのは、あまりに唐突な変換で、それ故にとってつけたように感じられたのだと思います。

    この捩れを解消するには、二つの方向があると思います。

    一つは全体を通しているハードボイルド路線で着地すること。
    オオノに弁明させず、祖母の言葉を叩きつけ、二度と会うことなく日常に戻る。
    個人的には好みの方向ではないですが、筋は通ると思いますし、アリでしょう。
    ただ、途中指摘したロジックの穴は、しっかりと埋めておく必要があります。ふわふわだとハードボイルドに耐えられないので。

    二つ目は、最後の場面に合わせて、SFテイストのヒューマンドラマに寄せること。
    カスミの心情やオオノとの交流中の気持ちの変化の描写を中心にすれば、ラストの展開も受け入れやすくなるはずです。途中、マキセと気心が知れる仲になる場面を作れば、なおよし。
    オオノとの諍いについても、そもそも複数回の交流をどんな気持ちで受け入れ、話していたのか、現時点ではほとんど書かれていません。事務的というか無味乾燥的な。カスミの個性と言えばそうなのですが、ヒューマンドラマ的なキャラクターではないでしょう。もちろん上手く描ければ両立も可能だと思うのですが、今回はハードに寄りすぎに思われます。

    主人公がごく普通のOLで、別宇宙の曽祖父を怖がりながらも交流し、無理な希望に耐えかねて決裂するも思い直す。ヒューマンドラマの筋立てなら、こちらの方がわかりやすかったかなと思いました。

    評価については、物語の導入と興味深いSF設定に星を一つ。
    対して、オオノ追及の穴などロジックの不備と、急すぎて面白いと言い切れない終わり方の二点はマイナスで、星1とします。

    物語の着想は高く評価していますので、次に期待します。

    作者からの返信

    こんにちは、お久しぶりです。
    ご指摘とお星さまをありがとうございました。

    長い文章を書く大変さは身に染みて理解しているつもりです。それが他者の書いたお話の感想ともなれば、面倒が勝ってしまえば感想を送らない、という選択も生まれるでしょう。
    そんな中で、これだけの熱意を届けてくださったこと、感謝にたえません。心よりお礼を申し上げます。


    ご指摘いただいた、カスミの性格については私も感じているところでした。
    ねじれ解消のご提案にあった「決裂」で終わらせる予定だったこと、
    結末が変わっても性格を変える手間を惜しんだことが敗因、私の過ちです。

    分かっていれば変えればよかったのですが、当時は不協和音の原因は本当にここなのかどうか確信が得られず、そのままにしてしまいました。

    今回の梶野さんのご指摘で、自分の勘が間違っていなかったという自信につながりました。


    勉強しなおして、今度こそ試行錯誤の手間を惜しまず、もっと楽しんでいただける作品作りに取り組みます。
    どうぞ気長にお待ちいただければ幸いです。

  • 04 分岐点への応援コメント

    >ホリエさんには再び〈あちら〉へ行ってもらうことになりました」
     
    そりゃそうでしょう!
     
    >カスミの迷い
     
    長文で再就職の場合の不利まで考えてしまう慎重ぶりは相変わらずですが、
    なんというか、考え過ぎ感の方が強い印象を受けます。
    就職先を容易にあっせんできる政府相手に自由に条件を出せる立場なんですから、
    再再就職とかどうとでもなるでしょう。ブランクがあってもゴリ押してもらえるよう、条件を上げればいいだけですし。
     
    一生働かずに済む金額を要求したって、通るかもしれません。
    カスミの休日の満喫ぶりを見ても、普段の生活からも仕事に執着があるように見えませんし。
     
    ただ、ここで書かれたオオノとの距離感、近づきすぎたくないという気持ちは共感できます。いきなり親子の関係になれないのと同じで。
    生きている限り、移動が続くのかという懸念もわかります。
     
    苦悩の中身は、こちらのフォーカスで十分すぎると思いますね。
     
    > 八日後、カスミは再び宇宙を越えた。
     
    ここら辺は順当な感覚に思います。
    悩みが見て取れて。
     
    >ベッド脇に立つ〈こちら〉のマキセは

    この後もずっと〈こちら〉表記が続きますが、ここは〈あちら〉で統一すべきと思います。
    カスミのいた宇宙から見て別宇宙の呼称が〈あちら〉なわけですから。
    カスミの台詞ではしょうがないと思いますが、移動ごと〈あちら〉〈こちら〉が入れ替わるとややこしくなるだけです。
    カスミが自分のいた宇宙を〈あちら〉と言わないのは、違和感があるからでしょう?
    逆も然りです。

    >手料理の約束は、〈あちら〉の宇宙に渡ったあとで、研究所の調理場を借りて叶えることになった。

    ここでもう、どっち?ってなりますもん。

    >カスミに異色性は提供できず

    ううーん。違和感。

    >「あなたはそのとき、なにを考えましたか?」

    ふうむ。
    ここの描写は、全てカスミの想像なんですよね?
    娘を捨ててオオノだけ生き延びた、とカスミは考えたように読めますが、このシチュでそれはかなり無理があると思います。
    娘が轢かれるのを見殺しにした、なら納得いくんですが、抱き上げて逃げてる時点で捨てても、大差ないでしょうもう。まだ娘だけ投げて車から逃す方があり得そうです。

    しかもこれが大野の口から語られたならまだしも、全部カスミの想像なので、読者的には「思い込み激しいな、カスミ」って感じです。ここまでの慎重さはどこにいったのか。

    祖母の言葉をここでぶつける展開はすごく上手いのですが、その前提が怪しいので、残念ながら効果的に伝わってきません。もったいない。

    >お父さん、助けてくれて傍点、ありがとう。
    変換ミスかと。

  • 03 祖父との対面への応援コメント

    >研究所は都市から一時間離れた人工島にある。

    イメージしづらいです。
    都市がどこにあるのかまず謎ですし、
    一時間というのが、何をもって一時間かも不明です。

    ここは距離を書くべきですし、対照とすべきも都市より「湾岸部」などの方が
    わかりやすいかと思われます。

    > マキセのあとに続く。建物に入って、待ち構えていた白衣の集団と合流し

    こここそ、建物の描写があった方がいいと思います。
    人工島の中心を外れた場所に、大きな研究所があるのか。
    それとも、コンテナと同レベルくらい貧相な建物から地下に降りるのか。

    >デジタル社会では紙は最高級品だ。身も心も引き締まる。

    こういうさりげないSF描写、好き。

    >目的の装置はカプセル剤の形をしていた。

    ここもサイズ表記が欲しいところ。
    「まっしろな空間」とあって、あれ?そんなに大きいの?となったので。

    >「いいえ、ホリエ・カスミさん。残念ながら〈こちら〉側には、あなたの個室はありません」

    この演出、なかなかいいですねw

    >カスミに刺激的な意識の変革を誘発した。

    描写が極端すぎて、かえって伝わらない感じ。

    >謙虚さを踏み越えてさせてしまうほどの大人物なのだ。
    踏み越え「て」させて
    「て」の消し忘れかと。

    まあここのマキセの感情は、
    「平行宇宙のひ孫にオオノの偉大さを伝えたい」のかもですね。

    >カスミは現実にはない木枯らしを感じて自分の両腕をさすった。

    「木枯らし」は流石に違和感。
    存在しないはずの海風、とかの方が、まだしもしっくりきそう。

    >外装傍点を確認しただけらしい。

    傍点の変換ミスだと思われ。

    >板が半透明なので、角度によってはクルマが空を飛んでいるようにも見える。

    わかりやすく、面白いギミックですね。

    >比喩表現ではない、本物の未来都市を目の当たりにし、カスミは胃が重くなるのを感じた。

    気持ちはわかるような、わからないような……絶妙なところかと。

    >五人分の足音は、ある部屋の前止まり、

    前「で」止まり、だと思われ。

    >感情がなくなったのではないかと錯覚するほどの大きな不安に押しつぶされてしまいそうだ。

    内容は一応伝わりますが、迂遠に感じます。
    もっとカスミの主観に寄せた描写の方が、的確に伝わるかと。

    >カスミの一挙手一投足を追尾した。

    ここも同じように感じた場面。
    カスミが意外な動きをしたならともかく、何の描写もないので、多分近づいている程度でしょう。
    一挙手一投足でも大仰なところに、追尾という普通なら使用しない表現を被せているので、斬新さより違和感が先に立ちます。
    「追尾」を「追う」程度にした方が、個人的にはしっくりきます。

    >「私は……」
    > 呻き声をもらして、彼はそのまま言葉を飲み込んでしまう。

    ああ、なるほど。
    娘を助けたこちらのオオノに対して、あちらのオオノは助けないことを選んだのかな?

    >カスミは孫として養女として、

    養女というのは、養子縁組された女性を指す言葉のはずです。
    一話に「祖母に引き取られた」とだけあるので、養子ではないのでは。
    この場合は「家族」の方が、違和感がないと思われます。

    >だが事故で祖母が亡くなったこの宇宙では、カスミは存在しない人間だ。再会は二度とない。

    ん? また宇宙間移動して来れそうな気もしますが。
    まあ政府次第ではありそうですし、余命の問題はあるかもですが、二度とないと断言はできない気がします。
    何ならこっちに滞在するとかでも、言えばいくらでも都合つきそうですし。
    どうせ移動時にズレが発生するなら、一日二日の違いは知れたものでしょう。

    >マキセの訪問から今日まで、カスミの意思は決定権を有していなかった。

    これも違和感あります。
    少なくとも強制されたわけじゃなかったですよね。
    カスミが「決めた」からこそ、二人の出会いが成立したのは重要なはずです。

    >一週間、無人だったマンションの部屋は

    時間のスレは一週間だったんですね。
    流されてますが、ここは普通感情を伴う受け止め方になるものかと。
    安堵か、意外に思うかはわかりませんが。

    >オオノの最後の発言は引っかかるけれど、容易には承認されないだろう。

    カスミの回想に、オオノへの気持ちが見えないのが気になります。
    あれだけ話をしたなら、情が移っても不思議はない気がしますが。
    この一文だけを見ると、自分からはもう会いたくない風に読めます。

    特別な感情が芽生えたのか、そうではなかったのか。
    本当の曾祖父ではないという点ではどうなのか。
    曾祖父と話したことがないので難しいですが、こちらとあちらで違いはあるのか。

    ここら辺は、「話が楽しかった」と同程度に書かれるべき部分だと思います。


  • 編集済

    02 カスミの決断への応援コメント

    >祖母は昔を懐かしむ人だった。動画も静止画も、一枚たりとも削除しなかった。

    これに続く段落の祖母の描写、とてもいいですね。
    故人のパーソナリティが伺えます。

    >幼いカスミの母の様子を、物心がつくまえに亡くなった父親の幻影を。

    ここもそうですが、カスミ視点の父母表記と、祖母視点のそれが混ざっているケースが散見されます。この場合ですと、

    祖母視点:娘  カスミ視点:カスミの母
    祖母視点:父親 カスミ視点:曾祖父

    ですよね。
    近い場面で並べる際は、統一した方が読みやすいかと。
    説明付きなので、そう間違えることはないと思いますが、気になったので。

    >宇宙を越えて、七十年も前に亡くなったはずの祖父に。

    曾祖父、ですよね?

    > ありがとうって伝えたいねぇ。

    ここら辺の、祖母の気持ちを伝えるべく、曾祖父と会うことを決めるくだりは、
    とても自然で、共感できます。

    >試運転の結果、最短で三日の往復分、最長で半年の往復分、超過してしまうと説明された。

    こんな重要な話が、承諾後に出てくる展開は、かなり違和感。

    前話のマキセの対応は、かなりフェアなやり方を選んでいると思われます。目的があるとはいえ、この情報を隠すのはデメリットの方が大きいかと。

    カスミの慎重な性格からも、こんな情報を後出しされたら、
    マキセたちが本当に信用できるのか、疑いそうなものです。
    金銭的な執着も(さして)ないのですし。

    私なら、納得いく展開のためにも、
    前話の時点で「時間のズレはあるが、何度も行き来できている」と説明すると思います。
    ある程度の危険はある。それでも行こうと決める。
    そういう展開の方が、カスミの決意が際立ちますし。

    ふうむ。
    主人公が曾祖父に会うことを決め、旅立つ。
    話の筋的には承の段階ですね。悪くないと思います。
    カスミの報酬への考えも、基準がいまいちよくわからないのですが、まあ人間、ある程度欲もあって当然だとは思いますし。


    ただ、欲を言えば。
    ・行先の平行宇宙がどんな世界なのか。
     それこそ犯罪率すごいことになってるかもだし。
    ・死んだ曾祖父の情報をもっと。料理好き以外でも。
     祖母が語っていないはずもないと思われるので。
     この時点でそれを提示した方が、平行宇宙との違いがわかりやすい。

    辺りは、慎重すぎるカスミであれば、調べていた方が「らしい」と思えた気がします。あるいは、三話以降で出てくるのかも?

    続きを読みます。

  • 01 祖父からの連絡への応援コメント

    時間がかかりましたが、拝読しました。
    正直感想につき、不愉快なら削除してください。


    >なにか誤解が生じているのであれば解かねば、という義務感にとらわれた。

    ここの「義務感」の使い方は、微妙に気になりました。
    義務の意味を調べると、「人がそれぞれの立場に応じて当然しなければならない務め。」で、この場合、被疑者と見なされている(かも)というのが立場に相当するかというと、ちと弱いような。

    とはいえ、言い換えも難しい場面ではあります。
    私なら「防衛本能」にするか、「解かねば、と強く思った」にしますかね。

    >提案された場所も効果的だった。
    まず「警察署を好きに使える相手」というところに驚きがきます。
    主人公がここをスルーしてるのはちょっと不可解に思いました。
    これだけ用心深い性格なのに。

    平行宇宙の曾祖父が、自分に会いたいと言ってくる。
    話の展開は面白く、先が気になりますね。

    気になる点としては、描写が過度に多く、ややもっさりしていること。
    SFなので、空想的な描写が必須なのは理解できますが、たとえば机の配置などは、
    そこまで書き込む必要があるのかな?とはちょっと思いました。

    もう一つは、主人公が異常に慎重なことでしょうか。
    この人が、平行宇宙から来てるスパイだと言われても驚かないレベルです。
    仕事や経歴を見るに、ここまで慎重な性格なのは不思議です。
    この世界ではそれくらい治安が悪化しているという設定なのかもですが、そこら辺はどうなんでしょう。比較対象がいないので不明ですが。

    ともあれ、どちらの指摘も個人的な感覚ではあるので、あまりお気になさらず。
    続きを拝見します。