籠の鍵
- ★★★ Excellent!!!
孫子の兵法書によれば、『勝敗は戦いが始まったときにはすでに決している』そうだ。
小賢しくも無神経な上司に嫌というほど仕事(と、人生)を蹂躙され続けている主人公。まさしく負けいくさの連続だ。しまいには負けいくさそのものが自分自身だとすら思いこんでいる節すらあった。
そんな彼が反撃を始め、ついには人生での勝利を収めていく様子が非常にいきいきと、またありありと活写されている。読んでいてまことに痛快この上なく、拍手喝采だ。
本作の魅力は、いうまでもなく主人公の苦闘だけではない。『レンタル部下』がいてこそ輝きを放つ。主人公と彼女は互いに月でもあり太陽でもあるだろう。すなわち彼が彼女と出会った時、勝敗はすでに決していた。
必読本作。