主人公の親友の話

misaka

俺の親友の話

 朝、登校した俺は自分の席に着く。今日から2年生だと気持ちを新たにする俺に、


「なあ、ちょっと聞いて欲しいんだけど」


 親友がそう、話しかけてきた。ぼさぼさの長い黒髪に、部活もやって無いから中肉中背。でも身なりを整えればそれなりにイケメンになることを、俺は知っている。両親が海外に行ってるかなんかで、今は1人暮らしをしているらしい。

 コイツとは高校に入ってからの付き合いだ。普段は根暗な癖に、趣味について語る時だけは妙な熱量を持つ。そんな面白い奴だった。ついでに、学年一の美少女と名高い幼馴染が居たりもする。っと、今は話の続きだな。


「どうした?」

「実はさ。昨日の夜眠れなくて散歩してたんだよ」


 夜に散歩なんて普通はしない気もするけど、コイツはそういう奴だ。まれによく、意味の分からない行動をする。そして、大体、何かが起きる。それが面白くて、俺はコイツの親友をやっている面もある。今回は何が起きたのだろう。話の続きを聞いてみる。


「そしたらさ。なんかよく分からないんだが、とりあえず、女子高生1人と同居することになった」

「……は?」


 親友の言っている意味が分からず、俺は素っ頓狂な声を上げてしまう。

 詳しく聞いてみれば、昨日……いや、今日か? 新学期の緊張で眠れなかった親友は、深夜、気分転換のために散歩をしていたらしい。すると、ゴミ捨て場付近で膝を抱えていた女子を見つけたという。立ち止まって事情を聞けば、親族のあれこれで住む家が無くなったという。

 俺の親友は、夜、ゴミ捨て場にいる明らかにヤバそうな女子に話しかけられる奴だ。そして、そのヤバそうな女子に「仕方ないから家に来い」と言ってあげられる優しい奴でもある。


「しかも今日からその子、ここに転校してくる予定らしい。……どうすればいいと思う?」


 俺の親友はそう言って、真夜中の散歩中に起きた出来事について相談してくるのだった。

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