僕は、いつでも憂鬱だ。KAC20233

裏耕記

怪獣現る

 僕の遊び場は戦場だ。

 遊び場をどこに移しても怪獣が現れる。


 この間だって、積み木でお城を作っていたのに、ニコニコとしながら近寄ってきたから、今お城作ってるからこっちに来ないでねって言ったのに。

 そんな言葉が聞こえなかったように、ズンズン行進を止めない。


 そして怪獣の手は、何の躊躇いも無く振り下ろされる。

 僕が大きくしていったお城に。


「あー! やめてよ!」


 そう言ってもケラケラ笑っている。

 頑張って作ったお城を壊すのが楽しいみたい。

 怪獣はなんでいつも壊してばかりなんだろう。


 仕方ないからお城に大砲を作って、ドカーンって打っても怪獣はビクともしない。

 工事中だよって柵を作っても怪獣は気にしない。


 何をしても、どこにいても壊しに来るアコ怪獣。

 ママ怪獣より怖くはないけど、話を聞いてくれないから本当に嫌だ。

 お母さんも怪獣みたいに怒っている時は、僕の話を聞いてくれないけど。


 でもアコ怪獣を止められるのはお母さんだけだ。


「お母さん! アコが僕のお城を壊した!」


 僕は真剣にお話しているのに、お母さんはこっちに来ることもなく、声だけ返してきた。


「アコはソウと遊びたいのよ。一緒に遊んであげて」


 え~。アコは邪魔しかしないから一緒になんて遊べないのに。

 仕方ないから積み木分けてあげて別々に遊ぼう。


「アコ、この積み木あげるからお隣で遊んでね。わかった?」

「わかったー」


 そう言って受け取ったのに、ちょっとしたら自分の積み木を持って来て僕のお城にガシャー。壊されちゃった。


「アコ! 僕のお城壊さないよ! わかった?!」

「わかったー」


 僕はお兄ちゃんだから一回だけ許してあげる。

 なのに……ガシャー。

 アコ怪獣が現れた。


「アコ! ダメでしょ!」


 強く怒ったら、アコは泣き出してしまった。

 やばい。アコが泣くと……


「ソウ! アコを泣かせたの?!」


 ほらね。ママ怪獣も現れちゃった。

 やっぱりアコがいないところで遊ばないと。


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