第11話

食べ終わって階段を降りて店を出てまた錦市場にしきいちばを散策する。

京都だからお漬物が多いな。お漬物買いたいけど、明日も居るなら明日買えば良いか。


「豆乳があるな」


「私は苦手っす」


「…同じく苦手」


「俺も苦手だ」


「全員苦手っすね」


「やっぱりお土産屋も多いな。帰りにもう一回来るか」


「…うなぎとかたこ焼き売ってる」


「うなぎ食べるか?」


「…今は良いかな」


「家用に明日買って帰ろう」


「京風たこ焼きってなんすか?」


「よく分からん。前食べたのは普通のたこ焼きだし」


「…食べてみる?」


「食べてみるか」


「食べるならどれ食べたい?」


「私は何でも良いっす」


「…何でも良いよ」


「12個パック買うか」


とりあえず三人だし12個パック買うけど、美味しかったら追加しようかな。

先に券売機で買って、店員に渡すタイプらしく。二人だけ先に立ち席に行ってもらった。

出てくるのはめちゃくちゃ早くてビビった。

あんまり読まずにみたけど12個パックってチーズとネギと普通のたこ焼きのセットなんだな。


「今の所、違いがわからないっす」


「てか大阪のと違い分かんなくない?」


「確かにたこ焼きの違いなんて分かんないっす」


「……頂きます」


「美味しいけど、やっぱ違いが分からん」


「私もわかんないっす。ただの美味しいたこ焼きっす」


「……たこ焼きあんまり食べた事ない」


三人揃っても全員違いが分からない系の人達なので、何とか風の店は入らなくても良いかもしれない。

男塾名物とかそんな事を書いてあったら入るかも。

そんな事を思いながら三人で食べてると、12個は食べ終わった。

4個食べれば良いだけだから普通に食べ終わるはずだよなそりゃ。


「まだ食べるか?」


「私はもう大丈夫っす」


「……大丈夫だよ」


おかわりは要らないらしいので、錦市場をまだ進む。この先行くと商店街に行くけど、あそこなんか凄いんだよな。

古い店からオタクの店まで何でも揃ってる。

流石に商店街に着いたら阪急に乗るか。

そんな事を考えてるが、まだ錦市場の真ん中ぐらいにきたばかり。

やっぱ人多すぎて進まない。


「ソフトクリームありすぎじゃないか?」


「違いが破らない系の私には面白みがないっす」


「まぁ全部美味しいよな」


「…ソフトクリームで不味く作れるのは天才」


「後はお土産売ってるところも多いな」


「二人は土産は買わないんすか?」


「買っても渡すやつ…お世話になってないから良いか」


「…同じ部署の人は、どうせ京都に来る」


「その為に下見だからな」


「こんな自由に歩いたら下見の意味ないっすね」


「下見の意味はないし、社員旅行とか言いながらみんな好き勝手に、京都巡るだけだしな」


「…ホテルでしか顔合わせない」


「変な会社っすね」


「本当に俺もそう思う」


正直に言ってVtuberとかで癒され始めたら、本当に疲れすぎな人かもな。

それが悪いとは言わないけど、この会社はとりあえず頭がおかしい。

最近、会社の弁護士がどこまでやったら法律的にアウトになるかって言うのを永遠にVtuberに教えてる人になってる。

まぁ、流石に酒を一から作ってみようとかは駄目だったらしい。


「私はほぼ本社に行かないっすけど大丈夫つますかね」


「何か来ないほうが良いよ」


「…最近、本社に射的をする為のセットが届いた」


「祭りでも開こうとしてるのか?」


「誰が買ったんすかそれ」


「…経理」


「あそこもやばいからな」


「ガバガバ頭のガバナンスって事すか」


「語呂いいから言ってるだけだろそれ」


「そうっすよ」


「何か買おうと思っても、人が多すぎて買う気にならないんだけど」


「…でももう少しで錦市場にしきいちば終わりだよ」


「本当だ、ABCマートが見えてきたらその道右に曲がって」


「分かったっす」


あそこのABCマートで買い物した事ないな。

まぁ靴買うなら家に帰ってからでも良いしな。


「今思い出したんだけど」


「どうしたんすか?」


「何で俺と赤羽が同じ部屋なんだ?」


「…何故か二人部屋だったから」


「うん、おかしいよね」


「でも赤羽さんが泊まりに来てることもあるから今更っすよね」


「俺の家に赤羽が泊まりにくる事があるの周知の事実なのか?」


「Twitterとかに載ってるっすよ」


「赤羽はTwitter禁止の方向で」


「…生き甲斐がぁ」


「もっと人生に必要なものあるだろ」


そんな話をしていたらABCマートがあり、右に曲がった。

これで錦市場にしきいちばは終わり、商店街に入った。こっちの方が道が広くてまだ歩きやすいが、相変わらず人が多い。

それでも自転車で隣を掠めて通る京都のおばさんはスーパーサイヤ人に違いない。


「京都どこでも混んでるな」


山科やましなくるっすか?」


「なにもないじゃんあそこ」


「私の家があるっす」


「……これから毎日家を焼こう」


「赤羽は一人でマイクラしてる?」


「…TNTの方が好きだよ」


「少し何かやっぱおかしいっすね」


「それも赤羽さ、木材とTNTを置き換えるクソMOD作ったよな」


「…作った」


「他のMOD作った方が良いっすよ」


「…願えば何でも出てくるMODとか?」


「…完全におかしいっすね」


「赤羽はこう言うやつだ。諦めろ」


ただ話してるだけで商店街の中をどんどん進んでいく。

もうすぐでも大きな提灯みたいな物があるはずなんだけど、確かそこを左に曲がれば良いんだっけな。


「……あの提灯持って帰れる?」


「赤羽の家には入らないでしょ」


「お土産で探せば普通のサイズあるかもっすよ」


「赤羽の家の中、物が多そうだな」


「…多分大丈夫」


「私の家の中、動画で使ったネタ道具がやばいっす」


「それは諦めて会社に投げよう」


「……だから会社の部屋が埋まっていく」


「なら会社の部屋の物を廃棄処分か、中古屋に持って行ってくれ」


提灯の下を通り左に曲がった。

バスが走ってるのが見えるが、この時間でも思ったより乗ってるな。

マジで京都は24時間混んでそうだな。

この辺の人ってよく生活できてるなと感心する。観光地には絶対に住みたく無い。


「バス廃止にした方が良いんじゃないかってほど、バス混んでるな」


「赤羽さんは乗れなさそうっすね」


「この人は人混み嫌いだからな」


「……よく分かってるね」


「名古屋でどうやって暮らしてるんすか」


「赤羽の家って名古屋から少し離れてるからな」


「…何もないよ」


「知立は確かに何も無いな」


「知立ってどこっすか?」


「豊橋分かる?」


「一応聞いたことはあるっす」


「豊橋と名古屋の間ぐらい」


「豊橋と名古屋は近いんすか?」


「名鉄で1時間しないくらいかな」


そんな会話をしながら、道路を渡り地下を入っていった。

阪急の河原町かわらまち駅は地下にあるので、夏が殺人級の暑さ、冬は極寒の地とかいう地味に住みにくい京都の中でもまだマシな場所にある。


「…階段疲れた」


「赤羽、体力無さすぎじゃない?」


「この人、まだ歩くのについていけるんすか?」


「まぁ、おんぶしてでも連れて行くか」


「阪急って改札入ってもホーム行くまでまた階段っすよ」


「…死ぬ死ぬ」


「降りるしかないがな」


俺たちは改札に、入りまた階段を降り始めた。阪急の河原町かわらまち駅は京都側の終着駅の為、一番線から3番線まで天下茶屋てんがちゃやなど方面に行く。大宮おおみや駅は二つ隣の駅で、普通か準急が停車するもんで、とりあえず止まっていた普通列車に乗ることにした。


「なんか関西の電車の雰囲気を感じる」


「…何分くらい乗る?」


「4分くらいで着くはず」


「…早いね」


「思ってたんすけど、何で今年は京都なんすか?」


「俺は特に聞いてないな」


「…近くて新幹線で行けるから」


「なら大阪でも良くないっすか?」


「何なら新幹線乗るなら関東でも良くない?」


新幹線乗る手間を考えたらどうせ名駅に行く羽目になる。なら別に関東でも良い気がするのは俺だけだろうか。

そんな事を考えていたら列車は動き始めた。


「関東ならマサさんの実家に行けるっすね」


「何で俺の実家の場所バレてるん?」


「結構前の配信で言ってたっすよ」


「あれ?そうだっけ。まぁバレても問題はないんだけどさ」


「…家凸生配信?」


「俺の親が泣くぞ」


「定職についてないんで赤羽さん以外親不孝っすね」


「……」ドヤ


なんかめっちゃ赤羽にドヤ顔されてるけど、この人も言うて、クビになる確率あるからな。

そんな話をしていると、駅に着いたので、列車から降りる。

特に変哲もないただの駅って感じ。


二川ふたがわ駅よりはだいぶマシな駅だとおもう。

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Vtuberでも好き勝手生きていたいよね 大坂 @osakashoji2

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