ぐちゃぐちゃなコード

SE太郎、見参！

　俺の名前はSE太郎。今日も仕事でプログラムコードをいじるぜ。

「ふはははは、俺にかかればこんなプログラムコードたやすいわ！」

　そうやってプログラムコードをいじる。俺のプログラムコードは完璧だ！

「太郎さん、炎上案件が来ています、応援お願いします！」

　そうか、締め切りに追われてどうにもならない部署があるのか。

　俺様にかかればどんなプログラムコードでも大丈夫！

　いってやらぁ！

「なんだこのプログラムコードは。美しくない。スパゲッティのようだな……！」

　炎上案件の所に来てみるとすんげーーーーーーーーーーーぐっちゃぐちゃなプログラムコードと出会った。こいつは絡まりすぎてぐちゃぐちゃになっている、通称スパゲティコードってやつだぜ。

「俺にかかれば……いや、こんなぐちゃぐちゃなプログラムコード、解析するだけで時間が……」

　スパゲティになったプログラムコードはどこに何を書いて動作しているのかがわからない。

　俺でも解析できるかどうか。

「しかし、俺様はSE太郎。どんなプログラムコードでもいついかなるときでも相手になる！」

　まずはとにかくプログラムコードを解析だ。炎上案件で逃げたSEの資料を基にプログラムコードを解析していく。

　……駄目だ、何書いているのかさっぱりわからん。

　ここまでか、いや、炎上案件とはいえお客様の依頼でプログラムを作っているんだ、投げ出すわけにはいかない！

「まずは案件定義を見直すぞ！」

　案件になっている情報を洗って、要らないプログラムコードを削除していく。

　少しは見やすくなったか？　しかしまだまだごちゃごちゃのプログラムコードだ。ジャングルの奥地にいる気分だぜ。

　案件定義を見直すと、あることがわかった。

「これ、作り直した方が早いんじゃないか？」

　しかし作り直す時間がない。納期までもう数日しか残されていない。

「よし、お前らは現状のプログラムコードを開発してくれ、俺とエース部隊で新規に書き起こしてみせる！」

　うおおおお！　ここから数日寝ないで書き直すぞー！

　栄養ドリンクがぶ飲み！

　24時間働けますか？　働けます！

　そんなときだった。

「う、胸が……」

　そう、俺は頑張りすぎて心不全を起こし病院へ運ばれ、そのまま命を落としたのだった。

　閻魔さまにはあのぐちゃぐちゃなプログラムコード案件はどうなったのか聞いた。

　俺が消えたため新規に書き起こすには不可能になり、とにかく動くようにだけはしたらしい。バグがどうなったかなんて知らぬ存ぜぬということだ。

「そうか。しかし閻魔だけが裁定するシステム、非合理的だな。よし、俺がシステムを立ち上げてやろう！」

　なんたって俺はSE太郎だからな！　プログラムコードが書けるなら環境はどうなっても良い！