混沌エンスストア「ヘブン・イレブン山上店!」
ケーエス
ぐちゃぐちゃ×コンビニ
K(完全に)A(頭いかれてるで)C(チューズ!)のコーナー!
今回紹介するのは混沌エンスストア「ヘブン・イレブン山上店!」です!
この「山上店!」はただものではありません! 混沌の中でも一流のお店で国内外から観光客がつめかけては逮捕されています!
それではさっそく向かってみましょう!
ふもと駅から車で50分、徒歩では2分で到着しますので今回は歩いていきたいと思いまーす! せーの! ジャーンプ!
雲を突き抜けて、落下しますよー! あ、飛び越えました。ではちょっと戻りますね! それ!
到着しました。クレーターがすごいですけども、それより見てください! ここが混沌エンスストア「ヘブン・イレブン山上店!」です。外観はいたって普通のとんがりコーンですね。
煙がすごいです。ですが、若い連中がタバコの煙を吸いこんでくれているので助かります。では入ってみましょう。
「出ていきなさ~い!」
店員が憤怒の形相で出迎えてくれました。遺体の第一発見者は私になりそうですね。中は16Fまでありまして、1Fがレジ、2Fがトイレ、3Fが空軍基地、4Fが精神と時の部屋、5F~13Fがオフィス。14Fがトイレ、15Fが売り場で16Fがファクシミリーマートになっております。ちなみに安全保障上の観点から営業時間は7:24-12:00 12:02-23:53 25:09-28:32となっているので地味に注意が必要です。
それでは15Fの売り場に向かいます。もう、おわかりですよね?
せーの、ジャーンプ!
さあ床という床を突き破って着きました! 15F、売り場です。ちなみに破った分の床はスタッフが後で美味しくいただいているのでご安心ください。
はい、では商品を選んでいきましょう。「山上店!」は山上にあるために記録的な品薄で有名で、店員の涙が1日に200ミリ降っており、ふもとの住民と絶賛訴訟中とのことです。まあ空軍がなんとかしてくれるでしょう。
こちらが人間売り場です。今日も我々をおいしく食べてくれる方を探しましょう!
「こんにちはー!」
「うっす」
前髪が目を覆い隠している男性です。そっけない顔してます。
「ぼくのこと食べてくれませんか?」
「うーん、俺あんまりポテチ食べないんすよね」
「ああ、そうですか残念です」
めげてはいけません。隣の主婦の女性に行ってみましょう。
「こんにちはー!」
「こんにちは」
こちらの方はにこやかですね。
「ぼくのこと食べてくれませんか?」
「あら、ごめんなさい。私今ダイエットなんですー。脂っこいのはちょっとね」
「ああ、すいません」
めげてはなりません。おっと動物コーナーです。
「カー!」
「カー!!」
「カアアアアアア!」
「カカカカカカア!」
「カアアアアアアア!」
交渉成立です。今の時代は動物語も人間語も脳内チップが翻訳してくれるのでありがたいですよね。
あ、蛍の光が流れましたね。時計を見ると12時です。一旦退店しましょう。
――2分後
1Fのレジまで戻ってきました。
店員さん、お会計お願いします!
「どの口が言ってんだてめえ! 店員は神様だろうがよ! 会計ぐらい自分でやれよ!!!!」
どうやらセルフレジのようです。
「カア」
「あ、読み取ってくれますか」
カラスさんが読み取ってくれるそうです。最近の決済は自らがQRコードになるんですよね。ハグ決済っていうらしいです。お金も幸せもめぐってハッピー。後はチップがなんとかしてくれるという。便利ですよね。
「カア」
「ありがとうございます!」
終わったみたいですね。
「おい! 客! これ持ってけよ!」
滝の音がしました。2000円入金されたようです。
「こんなに! いいんですか! ありがとうございます!」
「カア」
カラスさんもうれしそうです。ではイートアウトコーナーで食べられるとしますか! いい人生だったなあ。
そのときです。大量の煙が店内に入ってきました。
「ゴホッゴホッ! カラスさん大丈夫ですか?」
「カア、カア、オエ」
周りに人影が。これはさっきの若い連中です。さっき煙を吸い込んでいたのはそのためだったのでしょうか。
「お前ら! 動くな!」
これは……店員と若い連中どっちでしょうか? 煙で前が見えません。
『混沌エンスストアをご利用いただき、ありがとうございます。何者かによって店が占拠されました。有志の方は店員と共に排除をお願いいたします』
これは緊急時用の自動音声です。やはり若い連中が占拠したということでしょうか?
「おい、客!」
「はい!」
さっきの店員さんです!
「やつらは精神と時の部屋に向かった。協力してくれないか?」
「そんな……僕はただのポテチですよ」
「カア!」
「コイツは行きたがってるみたいだぞ」
カラスさんは勇ましく羽を広げました。捕食関係にある以上、この方についていく他ありません。そういう運命ですから。
「わかりました。行きます」
「助かる、さあいくぞ客ども!」
「はい!!!!」
ジャンプで4Fへ向かいます。その間、
「ところで店員さん」
と聞いてみました。
「なんだ?」
「どうして彼らはあの部屋へ?」
「おそらく、この星の時を刻んでる大原子時計が狙いだ」
「大原子時計」
「ああ、原子の力でこー、パーッと、アーっとなってこの星の時空を制御してるんだ」
「カア?」
「俺も詳しいことはよくわからん、ただのチョコバーだからな。彼らはおそらくそいつをいじってこの星を人間の時代に戻そうとしてる!」
「そ、それはまずいですね」
殺し合い、汚染させ、星を壊滅状態まで追い込んだ史上最悪の生物、人間。皮肉なことに我々商品を生み出したのも人間でした。しかし、彼らは暴走を続け星ごと滅ぼしかねない状態となりました。そこでAIたちが時空やら物理法則やらあらゆる概念を混乱させました。我々商品に知恵を与えられ、人間は支配下におかれました。こうして平和な状況が作られたのです。しかし、時計がいじられれば過去の時代に戻ってしまいます!
「いてえ!」
「大丈夫ですか!」
店員さんが思いっきり天井に頭をぶつけました。4Fの床が固くなっているようです。
「やつら内側からロックをかけてやがる!」
「どうしましょう? 他から入る方法はないんですか?」
「4Fは窓が無くてな。床を突き破るしか方法が……」
店員さんが周りを見渡しました。
「あるぞ! 方法が!」
店員さんが指さした先には最新鋭の戦闘機「ブリウス」が何台も並んでいます! そうです、ここ3Fは空軍基地なのでした!
「カア……」
「よしこれに乗ろう。これなら外壁から突撃できる」
いきなり店員さんはブリウスに乗り込もうとしました。
「ちょっと待ってください! 勝手に乗っていいんですか?」
「大丈夫だ。今日は定休日だから」
「定休日?」
「カア……?」
カラスさんが無い首をかしげました。
「緊急のときは俺たち店員がパイロットになってこの星を守るんだ。さあ乗れ!」
ブリウスの扉が音もなく開きました。もしかしたら生きては帰れないかもしれない。そう思うと無いはずの足がすくみます。そのとき、
「カア!」
振り返るとカラスさんがいました。彼は立派に羽を広げました。
「カラスさん……」
「カア!」
カラスさんは飛び立っていきました。
「あいつ、偵察に行くってよ」
捕食関係にある以上、ついていく他ありません!
「わかりました。行きます!」
僕は乗り込むことを決心しました。視聴者のみなさん、僕は行ってきます! この星の未来のために!
「よし、行くぞ」
僕が乗り込んだのを確認して店員さんは柔らかなアクセルを踏みました。ブリウスは音もなく浮き上がり動きだしました。
「うわあ!」
外です。あっという間に上昇。眼下に見える山々、そこにそびえたつ「山上店!」。訴訟中の家が米粒のように見えます。早くも時空が乱れだしているのか、ところどころに恐竜やらマグマやらお城やらが現れています。衛星の数も増えています。
「こりゃまずいな。星の体力が持たない」
店員さんが険しい表情をしています。
「カアカア!」
カラスさんの声です。とんがりコーンの下の方で飛び回っています。ここがどうやらもろい場所のようです。
「よし、準備はいいな!」
店員さんと目が合いました。
「もちろんです!」
いよいよ突撃です! 体に力を入れ、堅あげポテトになります。
「3、2,1!」
店員さんが力強くアクセルを踏みました。とんでもないスピード。あっという間にコーンが大きくなっていきます。
「うおおおおおおお!!!!」
「うわああああ!」
壁が目の前に――。そこで意識を失いました。
気づけば病院にいました。生きているのが信じられません。あの後精神と時の部屋には警察が到着し、若い連中はみんな逮捕されたそうです。見舞いにはカラスさんがやってきてくれました。
「カアー! カアー!」
今度退院祝いに僕を食べてくれるようです。やった!
さて、K(完全に)A(頭いかれてるで)C(チューズ!)のコーナー!
今回は混沌エンスストア「ヘブン・イレブン山上店!」を紹介しました! また来世でお会いしましょう! さようなら!
混沌エンスストア「ヘブン・イレブン山上店!」 ケーエス @ks_bazz
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