千佳ならではの、ぬいぐるみのお話。

大創 淳

第二回 お題は「ぬいぐるみ」


 ――僕には双子の姉がいる。名前は梨花りか



 姉妹で、このとある小説サイトの『書くと読む』に登録している。そして三度となるアニバーサリー・チャンピオンシップへの挑戦は、姉妹の共同作業。


 この度のお題は『ぬいぐるみ』


 シンプルだけど、お話にするには意外と難題……


「確かにね。千佳ちかの部屋の中、ぬいぐるみが豊富だもんね。梨花とは違って、いかにも女の子らしいお部屋って感じで。梨花は歴史を刻むようにバンプラが飾られて、いかにも男の子の隠れ家って感じで……それにしても、あなたたち、見た目はソックリなのに、どうしてこう、趣味は真逆なのかな? まっ、とは言っても、今更だけどね」

 との可奈かなの一言で、ふと僕は思う。


(梨花は本当に、ぬいぐるみに興味はないのだろうか?)と、それが事の始まりだった。


 その日の夜だったの……


 僕は見てしまったの。梨花のお部屋をふと覗くと……


 覗くつもりはなかったの。僕はただ、全巻揃っていた漫画が一冊抜けていたので、もしかしたらと思って、梨花を訊ねようとしていたの。そしたら、そしたらね……


「ババーン! ズズ―ン!」と、擬音の嵐が巻き起こっていたの。その擬音は、梨花の口から発せられたもの。手にしているのは……って、それ僕の『となりのトモロ』だった。


 その周りには、武装したバンプラたち。「何とかしてでも基地を守るんだ」と、何だか幼い頃に戻ったような梨花の一面? って感じで。僕はクスッと笑っていた。すると、それに気付いたのか梨花は、顔を真っ赤にして「ち、千佳? あっ、これはね……」と、何も言っていないのに、弁解しようとする様が、何だか可愛らしく思えて、僕は、


「ぬいぐるみ、そんなに乱暴に扱っちゃ駄目だよ。仲良く遊ぼっ。皆お友達だから、おままごとで」と、僕は自分のお部屋から、エブリシリーズのぬいぐるみを連れてきた。


 梨花は目を輝かして「いいね、いいね」と、喜んでいた。





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千佳ならではの、ぬいぐるみのお話。 大創 淳 @jun-0824

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