最後のページを、飾るのは……

貸本屋と、病弱な奥様。
お互いがお互いをよく知っています。
特に貸本屋は、顧客の好みを把握するのが仕事なので、奥様の趣味はよく知っています。
ある日、奥様を訪れたのは……。

人の死を前にして、取るべき行動はいくつかあると思います。
本作の主人公の取った行動は正しいか正しくないか。
作品上では「正しい」と取れますが、考え方は様々あると思います。
そして「正しくない」と取った場合でも、本作の「味わい」はその余地を残します。

僕はラストの展開は、「もしかしたらあの時のことをずっと気に病んでた主人公がある日見た、幻なのかもな」なんて思いました。

奥ゆかしくて上品で、でも熱意のある。
今は春。こんな幻も、いいかもしれませんね。