本屋の思い出

わたくし

本屋のおもいで

 小さい頃から、市内の大型書店へ行くのが好きでした。

 その書店は戦前から経営していて、市の昔の中心地の繁華街にありました。

 今は繁華街の中心は大きな駅の方へ移っていって、街を代表する店舗が連なっていたモールも、何処にでも有るチェーン店ばかりが目立つ街並みになってしまいました。

 このモールに有った書店は市内を代表する店で、市民で知らない人は誰もいないほどでした。

 モールの中心にあった五階建てのビル全部がその書店でした。

 向かい側には、市を代表する百貨店と東京の百貨店のビルが並んで建っていて、鎬を削っていました。

 市内のお買物の中心がこのモールでした。

 二つの百貨店はやがて別の百貨店に買収されて一つになり、本館と西館の間に渡り廊下で結ばれていました。

 今は百貨店は閉店となり、一つのビルは解体されてもう一つはJRAのサロンになってしまいました。

 書店の隣りには老舗の洋菓子店が甘味処とレストランを開いていました。

 わたくしは母親に連れられて買い物をした帰りに、このレストランで食事をするのがとても楽しみでした。

 最初は母に連れられて、後に自分一人でこの書店に行くようになりました。

 近所の本屋に無い本でも、この本屋に行けば必ず見つかりました。


 では、書店へ入ってみましょう。

 一階は雑誌や話題の新刊と小説などが沢山並んでいました。

 普通の本屋では置いて無いマニアックな雑誌も置いて有りました。

 天井は中二階まで吹き抜けで広々と開放的な雰囲気でした。

 フロアの端に階段とエレベーターが有り、地階へ下りる階段が有りました。

 地階は昔は喫茶ルームでコーヒーやケーキが食べられました。

 この書店ビルが建った時はエレベーターにエレベーターガールがいたそうです。

 古い建物なので、狭い階段を上がると中二階です。

 一階からの吹き抜けにバルコニーみたいに張り出した廊下の壁に文庫本がズラリと並んでいました。

 各文庫(角川・新潮・岩波など)毎に分類されていて、ここへ来れば主だった小説は殆ど手に入りました。

 一つ上がると文芸書フロアのニ階です。

 小説以外の文系の書籍や歴史の本、各資格のガイドブックや芸術書、画集や写真集などが有りました。

 棚の一部にはこの書店が発行した、地元の学校や歴史家が調べた郷土の歴史の本が有りました。

 三階は理系専門書のフロアです。

 わたくしが一番通った場所です。

 パソコン・自動車・鉄道・天文・化学・音楽・バンドスコア・電子工作・etc.

 ここへ行けばどんな事の知識でも得ることができました。

 四階は学習参考書・問題集と絵本・児童書のフロアでした。

 ここは殆ど行きませんでした。(おまえ、学生だっただろっ!)

 五階は漫画・コミックのフロアでした。

 ただ、漫画の品揃えは今一つだったので、ここではあまり買っていません。

 漫画は大きい駅にあった、この書店の支店で買っていました。


 高校生から二十代の頃はいつもこの書店に行って、沢山の本を買いました。

 買った沢山の本を家に持って帰るのは…


 重いでぇ思い出ぇ〜!(ドヤァ)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

本屋の思い出 わたくし @watakushi-bun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ