最終話 絶望不可避
「少子化してるから…政策を…考えようかなぁ?」と、今はまだ提案レベルだが、またこの国に生きる人間のレールを新たに定めようとしている。
そのうち学歴と同じような扱いや評価基準になりそうなことは沢山ある。
なんなら戦時状況を繰り返す可能性がある。
「産めよ増やせよ」
「欲しがるな」
「戦争に賛成しないのは非国民だ!」
今の段階でもうそういう風潮はある。
「あの人は子供がひとりもいないの?」
「結婚してないなんて可哀想」
「男のくせにフリーターなの?」
「女のくせに家事をしないなんて!」
社畜という言葉がある。でもそれは惜しい。
会社の奴隷というより社会の囚人だ。
そしてそれは刑務作業によく似ている。
日本だけではなく、先進国はみんな同じようなシステムになっている。
表面では奴隷だと呼ばれないから。そして扱いも少し人間らしく扱ってくれる。
だから私達は「社会の囚人」であり、そして「この世はでっかい刑務所」なのだ。
勉強とスポーツのレールを走れ。
次は労働と納税をしろ。
好きな事で生きるな。ゲームやスマホなどはダメ人間がやることだ。
そして役職に就き結婚して子供を産み、車を買え。
ひとり身で平社員など惨めだ。
…………etc
学校や会社で圧力をかけられた結果、今日もまたひとりレールに従う社会の囚人が誕生した。
毎日労働と睡眠のルーティング人生…
段々と老いて行く。
好きな事で生きていきたいだけなのに…少しでもレールから外れると白い目で見られ、損をする。
クレジットカードや賃貸の審査も通らない。
私達はそのレールに乗って模範囚になるか、外れて非国民になるかのどちらかしかないようだ。
あぁ、これならホントの刑務所に居たほうがまだ楽かもな。
この世はでっかい刑務所 りーしぇん @leeshen
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