所有の概念への挑戦

誰にでもやさしい男が登場します。
誰にでもやさしいは誰にもやさしくありません。
なぜなら、誰のものにもならないからです。
本来人間は誰かの所有物になります。
生きている限り、いや、お付き合いをするかぎりそうなのです。
誰にでもやさいい人間は誰かと付き合っていたっておかまいなしに
ほかのひとにやさしくし、すきあらば奪ってやろうという気にさせます。
泥棒のはじまりですな。ひとを泥棒に追い込みます。
所有物であることに留まらないこういう人間は
所有の概念への挑戦といってよいでしょう。
滅すべしです。
そんな不穏な小説ではありませんけれど。