第17話 オプティミズムとペシミズム
オプティミズム(optimism)とは、楽天主義。ものごとを楽観的に見ようとする姿勢や立場のこと。
ペシミズム(pesimism)とは、厭世主義。ものごとを悲観的に見ようとする姿勢や立場のこと。
2023年10月7日から大規模な武力衝突が続いている、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区。
この紛争は、単純ではない。両者が主張する歴史的・宗教的な権利や領土問題に根ざしており、約2000年も前からその火種があった。
「イスラエルが善・被害者で、パレスチナが悪・加害者」というような話ではないのだ。
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻ついても、両国の歴史的背景と現在の地政学的状況に深く根ざしている。
ロシアは世界から孤立し、経済制裁で大きな打撃を受けることは承知の上で、それでもあえてウクライナに侵攻しなければならなかった理由があった。
それを決して支持はしない。支持はしないが、プーチンの独断で行われた暴挙、と見るのは誤りである。
かつてモンゴル帝国に蹂躙・支配され続けた「タタールのくびき」の呪い(外敵からの侵略)は、何百年もの間、ロシアの人々を苦しめてきた。
本来、生きものというものは、自らの生存を阻害するもの、自分たちの命を危険に晒すものに対して容赦しない。
「中世的」・「時代遅れ」とプーチンへの個人攻撃をしている専門家、評論家もいる。
ロシアの人たちが受け続けた「呪い」を我がごとのように考えたことはあるか?
彼らの数百年の「呪い」と、その苦しみに寄り添う想像力が欠落しているから、プーチンへの個人攻撃に終始して「訳知り顔」ができるのではないか?
繰り返すが武力行使に賛成する気は無い。狂ったかとも思う。しかし狂わせたのは、プーチンという個人ではなく「タタールのくびき」という「呪い」のせいなのだ。
そして、ユダヤの人々の歴史を想えば、彼らに寄り添って考えてみれば、ロシアの場合と同じことがいえる。これは「呪い」なのだ。
ここは、我々の土地だ。長い長い迫害の歴史を乗り越えて、やっとの想いで勝ち取った場所なのだ。ここに来るまでにいったいどれだけの同胞が理不尽に命を奪われ、泥をすすって生き延びてきたか。
さらに、パレスチナという広大な地域で暮らしていた人たちの歴史を想えば、彼らに寄り添って考えてみれば、やはり、同じことがいえる。これも「呪い」なのだ。
そこは、もともと我々の土地なのだ。返せ。ふるさとを。返せ。尊厳を。返せ。魂を。生きる場所を。
ハマスの蛮行が決して許されることは無い。しかし、国際社会を敵に回すことを百も承知で、目を覆うような凄まじい蛮行をせざるを得なかった背景を、気安く断じてはいけない。
ところで「三枚舌外交」で、おそらく世界史上最大の詐欺を働いたイギリスは、知らん顔を決め込んでいる。いちばんの戦犯なのに。世界の歴史を変えてしまった重大な国家犯罪なのに。
ええ?ご先祖様が何だって?いったい何世代まで引きずっているんだ。いつの話をしているんだ。知らんがな。(ボソッ「俺たち白人様だぞ」)。
それぞれの立場で考えれば、それぞれが「呪われている」としか言えない。
彼らはこれからもずっと「呪い」を背負って生きていくしかないのだ。
こうなると、第三次世界大戦はもう避けられない。終わった。もうどうにでもなれ!深夜だがラーメン食べに行くぞ。どうせ世界は滅びるんだ。チャーハンも追加してやる!あと餃子追加で。どうせ死ぬんだからダイエットなんて無駄無駄無駄無駄ぁ!・・・お会計はリボ払いでお願いします。
―――という考え方をペシミズムという。
いや待て、よく考えれば、長い長い人類の歴史で、ぼくたち人間は、たくさん過ちを犯してきたけれど、すべて乗り越えてきたじゃないか。
ネアンデルタール人をはじめとする、自分たち以外の人類を絶滅に追い込み、様々な種類の動植物をも絶滅に追い込んだ。
そりゃあ過去にひどいことはたくさんあった。
それでも他者を思いやり、過去の過ちを許し、理解し合い、認め合い、分かち合う、それができるのも、我々ではないか。
たくさん血が流れるのは、思想や価値観の違いからくるもので、もうずっとこれまで繰り返してきたこと。今に始まったことではない。
人は、自分の土地を、仲間を、思想を、魂を、理不尽に奪われる位なら、命を懸けて戦う生きものなんだ。
鮎だって縄張りのために命かけて戦うだろう?人間だってそう。
それでも全部乗り越えて、ここまで来たじゃないか。大丈夫。きっとすべてうまくいく。いつか、ロシア人とウクライナ人が、ユダヤ人とイスラエル人が、手を取り合って助け合う日が、必ず来るさ。よし!飯行こう!メシ!チャーハンうめー!
―――という考え方が、オプティミズム。
事実はひとつしかないのに、その人の思想や、価値観、感情、様々な要因で、どうしても「解釈」は変わってくる。
「楽観的なものの見かた」
「悲観的なものの見かた」
どちらが正しい、ではなく、どちらの立場からも公平にモノを見られるようになりたい。
まあそれが中々できないから、ぼくたちはニンゲンなのかも知れないけれど。
ところで、「オプティミズム」と「ペシミズム」。この言葉を「楽観主義」と「厭世主義」だと変換できることは大事。
でも、自らあえてこの言葉を選ぶメリットは、きっと、少ない。
ただ、相手に嫌われたければ、使うとよい。結構火力が高い。
「きみのそのオプティミズムには失笑を禁じ得ないねぇ」
「はい、出た~ペシミズムぅ~」
すごい語彙。
すごい語彙 志道正宗(まめじぃ) @eagersouls
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