鬼のパンツはなぜ赤い

朝吹

鬼のパンツはなぜ赤い

(お題)

『ある学校の卒業式の日の朝。生徒たちが登校すると、校庭にパンツ一丁の姿で倒れている校長先生が発見された。傍から見れば明らかな異常事態にしかし、学校は校長不在で卒業式を敢行することに決める。なぜか…?』(100字)


・400字程度であること。

・Yes/Noの質問で辿り着ける内容であること。

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 校庭に下着姿で校長が倒れている。早春に映える真っ赤なパンツ。

「あれアルマーニだ。校長キモい」

「息子とパンツ共有してんのかな」

「勝負下着?」

「やだー」

 私たちは泣いた。卒業式の間、涙を流しながら笑い続けた。

 感謝の花束を担任の優香先生に渡すと、

「大切な日がこんなことになって」

 優香先生は涙をみせた。いいえ、先生。先生たちがやってくれなければ私たちは下を向いたまま卒業したはずです。

「告発するだと。お前も教壇に立てないようにしてやる」

 式の前日、校長が優香先生を恫喝していた。それを見て私たちは決意したのだ。

「何人も病んだ、学校を去った」

「あいつは生徒にも盗撮や暴行を繰り返した」

 彫刻刀やバットを集めていると、駈けつけた先生方が私たちからそれを取り上げた。

「やめなさい。それを貸しなさい。先生たちがやるから!」

 私たちはこの学校を忘れない。

 壇上から教頭は告げた。

「このあと教職員は自首します。皆さんは安心して卒業していって下さい」

 仰げば尊しわが師の恩。立ち上る勇気を教えて下さった先生方を忘れない。



[了]


 





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