荒廃世界の白い機械
ミンイチ
第1話
荒廃した世界で、白い機械は動き続けていた。
その機械は完全防水処理が施されており、3枚のモニターと1枚のキーボード、それから1つの有線のマウスがついている。
その機械は世界各地に設置してあり、一部の人から自主企画botと呼ばれて親しまれている。
機械達は独自のネットワークで繋がっており、世界中の様々なところで旅人たちの助けとなっていた。
この機械には様々な機能がついているが、その機能の中に「自主企画」というものがある。
この「自主企画」こそが旅人達に自主企画botと呼ばれている所以だ。
「自主企画」の機能では、旅人が機械を起動するたびにさまざまなお題が出される。
機械の中に登録されている言葉をランダムで3つ選んでその言葉で何かを作ったり、その機会が置かれているところの近くでとれる食材を指定してそれを使って料理をしたり。
その機械を起動した日のうちに終わらせなければいけないものや、とても長い時間がかかってもいいようなものもある。
そのお題に沿ってつくられたものは機械によって他の旅人に共有され、評価を受けるたびにポイントがもらえる。
そのポイントは機械の中の様々な機能で使うのことができた。
他の旅人が書いたりしたものを見ることができたり、世界が荒廃する以前のものを見ることができたりした。
しかし、その機械達はもうすぐ活動を止める。
老朽化したこともあるが、世界が復興したからだ。
一部の旅人は研究者となり、この世界が荒廃した理由を調べて機械で共有した。
一部の旅人は冒険者となり、この世界が荒廃した理由を他の旅人とともに解決した。
そして、ほぼ全ての旅人がこの世界の復興を手伝い、この世界は荒廃以前よりも発展することとなった。
そんな世界では機械の役割はなくなってしまうに決まっている。
しかし、機械を使い続けてきた旅人達は機械がなくなることを悲しみ、大きな像と記念博物館が作られた。
世界中にあった機械は回収され、この博物館に展示されている。
そして、旅人達によって書かれた様々な色の、様々な言語の別れの挨拶が機械達の白い体を彩っている。
荒廃世界の白い機械 ミンイチ @DoTK
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます