第2話 1000年後の世界

――1000年後の世界。


俺が救った世界――ミッドガルトはすっかり平和になっていた。


「アルくん。起きなさい!今日は勇者学園の入学試験よ!」


現世の俺の名前はアルフォンス、愛称はアルだ。16歳。

今、ベッドまで起こしに来てくれたのは、現世の俺の母親――アンナ。

優しくてきれいな平民の女性だ。


「おはよう!我が息子よ!お前ならきっと合格できる!」


ハイテンションで俺の肩を抱いたのは、現世の俺の父親――ハンス。

村の刀鍛冶をしている。

頼りがいのある平民の男性だ。


裕福ではないけど、アンナもハンスも、子どもの俺にたくさん愛情を注いでくれた。

俺の才能を見抜いた2人は、村長に頼み込んで、王都にある勇者学園の入学試験を受けられるようにしてくれた。

俺が魔王を倒した後、ミッドガルトでは勇者学園が設立された。

救世の勇者――ランス・ゴットフリートのような勇者を養成するためだ。

……ま、ランス・ゴットフリートは、前世の俺のことなのだが。


この世界では勇者学園を卒業すれば、王都で要職につけたり、ダンジョンを探索したりできるようになる。それで金をたくさん稼げる。

俺は今まで育ててくれた2人に恩返ししたい。楽をさせてあげたい。

だから絶対に合格しないとな……


「おはよう!アル!」


現世の俺の幼馴染――コレットが俺を迎えに来た。

コレットは村長の娘で、一緒に勇者学園の入学試験を受ける。

さらさらの金髪と、青い大きな瞳。

黒いローブを着ていて、胸がかなり膨らんでいる。

そう、コレットは巨――


「もう!アル!じっと見ないでよ!恥ずかしいじゃない……」

「あ、ごめん。見たことない格好だったから」


黒いローブを着ていたから、急に大人びて見えた。

……と、俺は言い訳しておいた。


「ふふ。おはよう!コレットちゃん。一緒に朝ごはん食べる?」

「わ、嬉しいです!おばさまのお料理を食べられるなんて!」


コレットは飛び上がって喜んだ。


「コレットちゃん。今日はアルをよろしくね」

「アルはあたしがちゃんとお世話しますから」

「いや、お前の世話にならねえよ」

「なによ!アルはあたしがいなきゃダメでしょ!」


コレットが俺をポカポカ叩いてくる。


「2人とも、仲が良いわねえー」


アンナとハンスは、俺とコレットを見て笑う。

……ああ、本当に幸せだな。

この平和な世界が、ずっと続いてほしい。




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【★あとがき】


モチベになりますので、


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ゼロの紋章を持つ男〜前世で救世の最強勇者だった俺は、学園で無自覚に無双してしまう〜 水間ノボル🐳@書籍化決定! @saikyojoker

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