ゼロの紋章を持つ男〜前世で救世の最強勇者だった俺は、学園で無自覚に無双してしまう〜
水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴
第1話 最強勇者、転生する
「ぐあああああああああああああああああああああああああああ!!」
俺は魔王の心臓に、剣を突き刺す。
魔王は最後の雄叫びを上げ、倒れた。
「……ゼロの勇者、ランスよ。貴様の勝ちだ。だが、お前はもうすぐ死ぬ。残念だったな……ははは」
魔王は息絶えた。
「はあはあ……」
パーティーは、俺以外のメンバーは全滅した。
剣の勇者、魔術の勇者、回復の勇者――
世界から最強の勇者を集めたSランクパーティーだった。
「ぐは……!」
どばっと口から血を吐き、俺は膝をついた。
左手の腕は折れ、腹にも穴が空いている。
「みんな……俺は……勝ったぞ」
パーティーメンバーは、みんないい奴だ。
「ゼロの勇者」と呼ばれた俺は、剣にも魔法にも優れていなかった。
最初は何のスキルも持っていなかったが、俺はどんなスキルでも吸収できた。
それが「ゼロの勇者」の力だった。
空っぽだからこそ、どんなスキルも身に付けることができる。
剣の勇者に剣術を、魔術の勇者に攻撃魔法を、回復の勇者に回復術を教えてもらった。
どれも、世界最高の最強スキルだ。
何もない俺に、すべてを教えてくれた。
なのに――
「せっかく魔王を倒したのに……もう、俺たちは死ぬのか」
俺は血をまた吹き出した。
魔王の側に倒れ込む。
「ランス、ランスよ……」
俺の頭上で優しい声がする。
「私は大精霊のルビスです。よくぞ魔王を倒してくれました」
「ル、ルビス……?」
大精霊ルビス――世界の平和を願う、精霊の女の子。
俺が10歳の時に現れて、俺にゼロの紋章の授けた。
俺の左手の甲に、ゼロの紋章が刻まれている。
そして、俺が勇者で世界を救う存在だと予言したのもルビスだ。
「今までよく戦いましたね。あなたを転生させてあげましょう」
「転生……?」
「第2の人生は、平和な世界で生きてください」
そうだ。俺はこれまでずっと戦い続けていた。
だから次の人生では、平和に楽しく暮らしたい。
「ゼロの勇者ランス……いや、救世の勇者ランスよ!汝、転生せよ!」
俺の身体の下に、魔法陣が現れた。
緑色の光に俺は包まれた。
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