Scene11

「いやぁー、なんとか乗り切ったわねぇーー! たいせいもお母さんも大喜びだったらしいし、大成功じゃない? 良かった良かった」

 週が明けた月曜日。葵の機嫌はすこぶる良かった。

「良いわけあるか! 俺があれからどれだけ大変だったか……ケビン取っ捕まえて死闘の末何とか記憶を消し、あとは隠蔽工作の嵐で昨日丸一日潰れたよ! 結局苦労するのはいつも俺なんだ……」

「でも恭一も楽しかったでしょ? あの星空を見て清々しい顔してたじゃない」

「ん……ま、まぁ……?」

 恭一も少し頬を赤らめ、満更でもない表情だ。

「どさくさに紛れてずっと私と身体接触できたし」

「な! ちょ、あれは仕方なくだなぁ……」

「はいはい、わかってますよー」

「おいー!」

 二人が教室で人目も憚らずイチャついていると、ガラリと扉を開け、南波が入ってきた。

「おはよう。相変わらず仲良いね君達」

「あー、お前一昨日肝心なときにいなくなったよな! 何してたんだよ!」

「そーよそーよ私達を置いて!」

「あいつらのアジトを探してたんだよ。それで、見つけた。もちろん全員出払っててもぬけの殻だったけどね」

「ほーん、おまえそんな事してたの……」

「いや他人事! 本来君達の仕事だよ?」

「何はともあれアジト見つけたのはデカいな……一昨日ケビン以外は壊滅したらしいし、そのケビンは俺が壊滅させたし、ほとんどのテロリストは逃げたらしいな。首領もまだ捕まってなかっただろう確か」

「うん、だから何でそれを堂々と言えるの」

「ウチ潰してあいつら調子乗ってそうだよな……ほってはおけんな。今日急襲するか」

「えーでも危なくない? 恭一でも流石に一人はヤバいって」

「え、俺一人確定? 手伝ってくれないの?」

「行かないよー怖いじゃん」

「僕は本来そもそも関係ないからね」

「えーじゃあ俺もやめよっかな」


 そんな会話をしていた三人の脳裏に、ふと数日前の会話が蘇った。


 "もし昼間からそんな大きい虫眼鏡を作ったら、それこそ地表を焼き尽くすレーザー兵器みたいになるだろうね"


 三人の顔には、自然と笑みが浮かんでいた。


      ***


「グハハハハ! 我輩の圧倒的能力でエ○ンの戦士たちを一捻りにしてくれたわ! あの厄介な組織がいなくなれば、世界征服は目前よ!」

 黒ずくめの衣装にマント、角がついた目出しのヘルメットという奇抜な恰好をした中年男性が、南波が突き止めたアジトで勝ち誇っていた。

「首領! ですが数人きゃつらに捕まったままです!」

「捨て置けい! 今日再び攻勢をかける。明日は、我が天下よ」

「「「ギャ~ハッハッハッハ!」」」


     ジュ!


 その晩ニュースになったほどの、強すぎる光量で包まれた後、多くの人間の高笑いで埋まったそのアジトは一瞬で消し炭となった。



     「タナバタ★タナボタ」完












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タナバタ★タナボタ 日向 満家 @hyuga_mitsuie

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