海風を我が帆に
@kurokumanov
第1話 : 始まり
「おいおい、誰だ昨晩錨を下ろさなかったやつは…」
「船長。お言葉ですが、(錨)下ろしてこの状態です。」
「そうか…」
「それでこの状態をどうするか」
そこには、停船して錨を下ろした状態のまま昨晩の大波にさらわれ、浅瀬に乗り上げた戦列艦であろう帆船がお腹を見せている。
「どうるすんだよ。この船は600人はいる…しかし彼女は74門の戦列艦だ、とても今の人数で動かせるとは思えない。」
「船長、幸いここは王国海軍や商船が少ないですが通ります。その時に助けを読んでもらうか曳航してもらいましょう。」
「うむ。それまでに何時でも出航できる準備はしておけ」
そして1時間、2時間とすぎた頃、マストの上から叫び声が聞こえてきた。
「船です! 2隻の商船レ'グロース・ベントレーの船団です」
「手信号で助けを呼べ!」
マストの上で手信号で助けを呼ぶ。こちらに気がついたのであろう2隻がマストを旋回させ、船首をこちらに向けて近寄ってくる。その光景は戦列を組んだ戦列艦のように見えるほど綺麗で指揮の取れた動きだ。
「手信号の方で座礁されてしまったと船員から聞きましたが」
「えぇ、見ての通り。昨晩の大波で停船していたのですが流されてしまいまして。動かそうにもこの大きさでは人手が…」
「そうでしたか。それでは我々が港まで曳航しましょう。2隻で引っ張れば動かせるでしょう。」
「ほんとですか。それは助かります。」
商船2隻が近ずき、ロープが渡され、数本のロープが戦列艦の船首に括り付けられる。船は難なく動き出しそのまま3隻は港へ進み始める。商船2隻が戦列艦1隻を曳いているとう異様な光景だがこの辺りはそう珍しくはないようだ。
「ところで、戦列艦の船長さん?」
「あぁ、はい。どうされました?」
「皆さんあまりこの辺で見ない顔ですけど。どこから来たんです?」
おもむろに商船の船団長が聞いてきた。
「我々は今日から首都のケー二ヒストーン/ポートルインスに配属される海兵です。この辺りの地形を知らないがゆえあのような状態に…」
いろいろと話し込んでいるうちに陸地が見えてきた。
「おぉ、そろそろ港に着きますね」
船が港につき、我々は別れを告げる。商船団は荷物の積み下ろしをするとさっさと港から出て行き次の港へ向かった。私は船員にあとは自由に過ごすよう支持して海軍本部へ向かう。港から出るとすぐに広いケー二ヒストーン/ポートルインスの街じゅうのお店や屋台の灯りが街を照らしていて首都とだけあってとても賑やかだ。しばらく歩くと海軍本部に着いて中に入る。受付に案内をしてもらい提督の部屋の前までゆく。足を止め戸を叩く。
(トントントン)
「入れ」
ガチャ………ガチャン(扉を開け閉めする音)
「本日づけで、ここ、ケー二ヒストーン/ポートルインスに配属になった、フォン' レルガンド艦長
"エルマー・フリーゲルト=レーゼフ"
です。レーゼフとお呼びください。」
「うむ、よろしく頼む。こちらの紹介がまだだったな。私はケー二ヒストーン/ポートルインス海軍の全てを仕切っている"アークロイド・タバロコーフだ。"アクタ"とでも"アドミラル"とでも呼んでくれ」
「改めて。ようこそケー二ヒストーン/ポートルインス、もといKPRへ。」
海風を我が帆に @kurokumanov
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