世界観とキャラクターたちが魅力的な物語

現実の世界が滅び、まるで中世の世界のようになってしまった世界を舞台とした物語です。いわゆるポストアポカリプスものですね。人間同士の国家間の争いを主軸に、異形の怪物なども登場し、物語を盛り上げます。

この作品の魅力は、練りこまれた世界観とキャラクターたちでしょう。文章がとても読みやすく、物語の世界に何が起き、どういう状態なのかが読み手に伝わってきます。巻末に用語解説が付いているのも、作者様の作品に対する愛を感じますね。

また、読みやすさの一端を担っているのがキャラクターたちの「ノリの良さ」ですね。戦争を題材としており、当然ながら命のやりとりも描かれます。しかし、キャラクター同士の会話が面白く、あまり残酷さを感じさせません。かといってシリアスさが失われているわけでもなく、そのバランスの取り方が本当に絶妙です。

前半部分は群像劇のように様々なキャラクターの思惑が描かれますが、それも世界観を引き立たせている魅力の一つでしょう。満を持して主人公が登場したあとは、彼の行動力と心意気に心を躍らされます。彼ら男同士の友情も熱く、比較的重いテーマでありながらどこか冒険心をくすぐられる、ワクワクするような物語に仕上がっています。

このように魅力あふれる素晴らしい作品です。
とても読みやすいので、皆様も是非。オススメです。

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