RENEGADES
飛鴻
【プロローグ】
西暦2097年
21世紀も終わりを迎えようとした頃、世界はついに第三次世界大戦に突入した。
狂信的な軍事国家が誕生したわけでもなく、領土問題でもなく、その引き金になったのは気候変動に伴う食料危機だった。
20年以上続いた太陽活動の活発化が地球温暖化に拍車をかけた。
地球規模の平均気温が5℃上昇したことで世界各地で砂漠化が進み、極地の氷は溶け、海面は80mも上昇。その結果、多くの島々と世界中の大都市のほとんどが海底に沈んだ。
陸地の面積はそれまでの60%まで縮小し、難を逃れた多くの人々がその限られた土地での生活を余儀なくされた。
それに加え、砂漠化の影響で作地面積が大幅に減少したせいで食料難に襲われ、人々は残された森林を伐採して耕地を広げる手段をとる。それが砂漠化を加速させる悪循環を招いた。
こうして土地や食料を奪い合う紛争が各地で勃発し、やがて国と国が、最終的には世界を二分した世界大戦へと拡大していった。
過去二度の大戦と比べると、三度目の世界大戦は短期間で終戦を迎えることとなる。
双方が『核』を使用したことによって、たった一日で、気候変動を生き延びた都市も、人類の99%も、この世から消滅したからだ。
勝者も敗者もない、考え得る最悪の終戦だった。
かろうじて生き残った1%の人類も、やがて、放射能の影響でその多くが死に絶えるか、もしくは後に『異形種』と呼ばれる遺伝子異常を起こした別人種に変化していった。
人としての人格を保ち、五体満足で生き長らえたのは、おそらく世界中で数千人のみ…。
これは
文明も社会も、生き物のほとんども消滅した大戦から、3000年後の物語である…
※※RENEGADES ひとくちメモ※※
【ロシュフォール王国】
国王=ジャン-ロシュフォール3世
人口=3700人
グランサム連邦の中では最も小規模な国
農業と酪農が主産業
国王のロシュフォール3世は、自らが「食ってければイイじゃん」と公言するほど『無欲の王』としてその名が知られ、しきたりや習わしに囚われない自由奔放な人柄で領民から愛されている
【タラモア帝国】
帝王=ケチャム-ブリンストン
人口=28000人
不慮の事故により亡くなった先帝の後を継いだ未だ10歳という幼少の帝王に代わり、執権のバジャルが実権を握っている
古代文明が遺した科学技術を他国に先駆けて発見・活用したことにより、急速な武力化に成功し、グランサム連邦協定を無視した軍事独裁化を目論んでいる
【グランサム連邦】
5095年成立
首長国=タラモア
タラモア、バラザード、アナムル、キルベガン、ホーブロー、イグナリナ、ロシュフォール、7つの連合国家
【異形種】
核戦争後の放射能の影響で遺伝子異常を起こし、本来の姿形とは異なる形態で発生した生物
その多くが巨大化もしくは凶暴化しており、身体能力の向上と攻撃性の増幅が特徴
人類・生物・植物の全てで確認されている
【特異種】
異形種とは違い、脳が劇的な変化を起こし身体機能や知覚機能に飛躍的な進化・上昇が発生した生物
その多くが未だ謎に包まれている
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