最後の夢
ザザァザザァザザァ、、、、、、
海にもう一度来てみた。本当に綺麗だ。少年がこの場所に行きたくなるのもわかる。明日僕はこの町を出なければならない。もう僕は時間がなかった。どうすればいいのかずっと"みち"に迷っている。
今日もおじいさんはこころよく家に泊めてくれた。孫がいた頃を思い出すのだという。何だか懐かしいのだと。今日は頭を使いすぎて疲れてしまった。いい夢がみれたらいいな、そう思って僕は目を閉じた。
少年が目の前で僕に向かって微笑んでいる。ここは海だ。海の上に"立っている"。でもそれをなぜか僕はおかしいとは思わなかった。
『会いに来てくれたんだね。待ってたよ。』
「君はどうして僕に夢を見せたの?」
『ふふ、夢を見せたのは僕じゃないよ。この海さ。僕の友達。』
「どうゆうこと?僕はもっと君のことが知りたい。」
『いいよ。』そう言って海の上を歩きはじめた。
『僕は親がいないに等しい環境で、友達もいなかった。その上病気になっちゃったから学校にもいけなかったしね。唯一の友達がこの海だったんだ。ずっとこのままでいいと思ってた。でも、余命宣告されたときこれまで我慢してたことが全部溢れ出てきちゃってさ、海にめいいっぱい叫んだんだ。そしたらこの海が応えてくれた。君とは真反対な人生をおくっているけど君と同じような心の持ち主に君を探させよう。彼が見つけるのは死んでしまったあとかもしれない。けれど君たちは出会うだろう。昔から友達であったかのように。ってね。その言葉を聴いた時すごく嬉しかった。そして本当に僕達は出会った。ここまで来てくれてありがとう。』
そう言って彼は美しい笑顔を浮かべた。その瞬間僕は彼とやっと"繋がった"気がした。
「僕のほうこそありがとう。僕を待っていてくれて。僕は人生の意義を何も見いだせていなくて適当に生きていた。でも、生きることが人生の意義なんだね。君に出会えて感じた。本当にありがとう。」
そうして僕は人生で一番の笑顔を浮かべた。
次の日僕はおじいさんにお礼をつげて家に帰った。帰ったらお母さんが本当はどこに行っていたのかと問い詰めてきた。どうやら嘘だとバレたらしい。今日も母さんは母さんを全うしている。でもそれがとてもよかった。色がなかった僕の人生は色づいた。とても綺麗な海色に。
海色 日音-haruoto- @haru-ot
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