あの場所

ザザァ ザザァ ザザァ、、、

波が満ちては引いてを繰り返している。海がこんなにも綺麗だとは思いもしなかった。


数日前--

ついに見つけた。夢の海。本能がここだと言っているかのようにその海だけが目をひいた。僕は絶対ここに行かねばならないのだと感じた。そうして家族には内緒で一人行くことにきめたのだった。


潮の匂い、感じる空気、何もかもが初めてだった。僕はこれから何かが変わる予感と共に思いっきり空気を吸った。

よし、まずはあの家を探そう。そう思い辺りを見回すが、砂浜が一面に広がっているだけだ。

どうしたものかと困っていると50代ぐらいの女性が話しかけてきた。

「見ない顔だね、こんな所でどうしたの?」

「すみません。ここら辺に窓がひとつしかついていない家ってありますか?」

「うーん、、、そうね、しいて言うならあの丘の上の家の事かしら。でも、誰も誰が住んでるかしらないのよ。行くなら気をつけてね。」

そう言って去っていった。もう少し聞きたいことはあったがしょうがない。とりあえずその家に行ってみることにした。


そうしてたどり着いた家は夢の家によく似ていた。なるほど、夢では海はすぐそこにあると思っていたが、どうやら丘の上から見た海だったらしい。とりあえず扉を叩いてみた。

トントン、、、、、、シーン

誰も居ないのか?でも、さっきの女性は誰が住んでいるのか分からない、と言っていた。という事は誰かはいるということだ。もう一度確かめてみる。

トントン、、、、、、シーン

やはり反応が無い。ここまでかとはんば諦めていた時

「誰だ!!!」

そう言われとっさに振り向くとそこにはおじいさんがひとり険しい顔をして立っていた。


「いやーごめんね。たまに悪戯をしようとする奴がいるんだよ。」

「いえ、お気になさらず。」

今僕はおじいさんの家にお邪魔している。どうやら一人で暮らしているようだ。

「でも、どうしてあの家にいたんだい?今は誰も住んでいない、チンピラのたまり場なのによ。」

「あーちょっと気になることが、あって、、、」

「ほぅ、気になることか?」

「はい、変な話なんですけど。夢を見たんです、、、、、、」

僕はこれまでの経緯をおじいさんに話した。このおじいさんならわかってくれる、そう思ったのだ。

「うーん、なるほどの、、、ちょっとまっとれ。」

そう言っておじいさんは奥のほうに消えていった。

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