真実
数分後、おじいさんはアルバムを持って帰ってきた。
「いやー、奥の方にしまっちまってたから。これ見てくれ。」
それはあの家とおじいさん、そして少年の写真だった。
「これは10年前のもんだ。この子はわしの孫で、1年前なくなった。お前さんが見たのはこの子じゃないのかい?」
そうだ、、、この儚く綺麗な少年だ。僕の頬に涙が流れた。
「やはりそうか。あいつはなくなる直前、僕の事を誰かが探してくれているといったんだ。でもそれが誰だかわからないと。お前さんだったんだな。」
そう言っておじいさんは微笑んだ。だが、謎なのは僕が探し始めたのは数日前だ。1年前は夢を見始めたころ、、、、、、時期が、重なってる?
「あの、この子がそれを言い始めたのっていつ頃ですか?」
「うーん。たしかこれぐらいの時期じゃなかったかな。暖かかったから。」
おじいさんは今日は遅くなってしまったから泊まっていくといいと言ってくれた。母には友達の家に泊まると言っている。敷布団のなかに入ると、畳の匂いを感じた。不思議なことにすぐに眠りについていた。そして、その日あの夢を見ることはなかった。
次の日は小さな窓の家のなかを見せてもらった。家の中はベットがひとつあるだけで閑散としていた。ここに来たら何かわかるかもと思っていたが、謎が増えるだけだ。おじいさんはもう気にしなくていいと言ってくれているがそれではダメな気がした。そんな僕を見ておじいさんは少年の話をしてくれた。
***
あの子は母さんが小さい頃に死んでしまって父さんは仕事ばかりの人だったからわししかいなかった。その上、母さんと同じ病気にかかってしまってあの家に閉じこもるようになってしまって。本当に可哀想な子だった。でも、そんなあの子が唯一笑っている時があった。それが海を見ているときだったんだよ。海にいる時だけがあの子自身になれたのかもしれないね。でも、病気は彼の体をむしばんでいった。だんだんと海に行くことすらもできなくなって、、、それが2年前の今頃の事だ。そして1年前なくなってしまったんだよ。文句ひとつ言わない優しい子だったのに。
***
おじいさんの目は後悔と悲しみがにじんでいた。僕はその話を聞いて夢と重なることがいくつもあることに気づいた。少年が誰かを感じた日と僕が夢を見始めた時期が一緒でも1年ズレている。僕が見た少年は窓の外の海を見ていた。それは海に行きたいという表れだったのじゃないか。そして、雷の夢。あれが少年がいなくなったことを示唆しているのではないか。何かが足りない。あとひとつが。それを知るには夢を見るしかないのだ。
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