海色

日音-haruoto-

日常

小さな窓がついた家がひとつある。そこから見えるのは永遠に広がる海。僕が家に入るとベットからじっと窓の外を見詰める少年がいる。近づくとこちらを見てこう言った。

『きみはだれ、、、?僕を--』



ジリリリリリリリリリ、、、目覚ましの音で目を覚ます。ありきたりな状況だな。そんな事を思いながらリビングに行く。洗面所では3歳下の妹が前髪を直している。そりゃあ僕だって前髪を気にするぐらいの歳にはなった。でもあそこまでする気にはならない。そんな妹を横目に見ながらご飯を食べるために席に座る。

「こら、着替えてから食べなさい。」

母さんは朝から母さんを全うしている。何を言ったって言う事を聞かないといけないのは分かっているから着替えるため自分の部屋に黙ってかえる。今頃母さんは父さんに文句を言って父さんは聞こえていないフリをしているのだろう。普通のよくある朝の日常。別に普通が嫌なわけじゃないけどおもしろくは、ない。

そういえば、今日はいつもの夢を見た気がする。全然思い出せないけれどいつもの事だから気にはしない。

「早く着替えてご飯食べなさい。」

さっきは食べるなって言ったくせして今度は早く食べろと言う。世の中は矛盾で溢れている。


「おはよおおおおおおおお!!!」

後ろから近づいてくるこの声は高校から友達になった奴だろう。何となく気付いてないフリをしておく。

「無視すんな!」

そういって僕を叩く顔はとても笑顔だ。それをみていると自分も自然と笑顔になる。

「おはよ。」

ぼくはそう返事をして学校へ歩き出す。--

「今日はみんなが大好きなテストをするぞー」

そんな安っぽいボケをかましながら先生はニヤニヤしている。性格の悪い先生だなと改めて思ったことはいうまでもない。

「やばい!勉強しとらん、、、!」

左を見ると絶望の顔をした友達がいる。先生の思う壺になるとはこの事だなと何となく思う。終わったあとに返されたテストはいつも通り67点というまあまあな点数だった。ちなみに例の友達は当たり前に赤点だったようだ。今日は文句を永遠に聞く昼休みになりそうだ。


家に帰ると誰もいなかった。うちは共働きだし、妹は遊びに出かけているのだろう。自分の部屋にかえってすぐにベットに寝転がる。着替えてからでないと怒られるのは重々承知なのだが、つい面倒くさいと思ってしまうのだから仕方ない。そうしてスマホをいじっていると母さんが帰ってきた。案の定叱られてしまった。そんなこんなで一日が静かに過ぎる。でもこれはこれからの準備だったのかもしれない。




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