彼自身神となり自然を作りかえようとする具現としての理想郷(狂気の沙汰)

 ……恐いこわい。
「神によって作られたこの大自然を、それには満足しないで、彼自身の個性をもって、自由自在に変改し、美化し、そこに彼独特の芸術的大理想を表現すること」「日夜をわかたぬ狂気と淫蕩、乱舞と陶酔の歓楽境、生死の遊戯の数々」(「」内は本文引用)に自制がきかなくなっている。
 小五郎さんがとめてあげなければ資産が尽きても狂気の沙汰を維持するために新たな犯罪を企てたかもしれない。
 ……でも自制のきかないことって誰にでもあると思う。例えば頭痛もひどくて体は悲鳴をあげているのに飲まず食わずで憑かれたみたいに書き続ける状態とか……恐いこわい。

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