第46話 神クラスの奴隷商人だけど、最高の奴隷達は一人も売れません!

 そのあとは大変だった。


 あの力の反動で、一週間動けず、サクリの街でみんなからずっと看病されてた。

 思い出すのも恥ずかしいくらい手とり足取り何から何までお世話された。


 あの時集められた奴隷たちはスレサヴァさんに預け、いい所に売ってもらえるようお願いした。 ただ、コリーだけは、


「イレド様、なぜその女を抱いているのですか?」

「いや、女を抱いているっていうより、槍なんだけど」


 そう、僕はコリーである槍を抱いていた。


「この槍は魔力を早く回復させる効果があるらしくて、槍だし何も感じないから抱けばいいって、コリーが」

「この槍、なんか熱くありません? 絶対、意識あります」

「えええ!? そうなの!? だ、だったら、ダメだよ! コリー!」


 そういうと、コリーは人間の姿に変わり、


「えへへ、分かりました。お兄様。でも、コリーは嬉しかったですよ」


 そう言って、すたたーと去っていく。


 いや、コリー。後の説明とかいろいろ……。後ろからたくさんの圧を感じるんだけど。


「さて、イレド様、コリーを抱いたのですから、他の奴隷も平等に扱っていただかないと」

「ボク……匂い嗅いで我慢できるかな? ううん! する! するから抱いて! ご主人様!」

「ワ、ワタシは、その、ご主人が良いと言ってくれるなら抱いてほしい、できれば、朝まで」

「主様、命令していただければずっとキヤルは主様を抱きしめて差し上げます!」

「主、多少の温度上昇は許してください。抱いてください」

「なんぼでも出すからぁああ! その、あの、抱いて、旦那……」

「イレドちゃ~ん、えっちな意味で抱いていいよ」

「イレドさん、わたしはかなり潤いあるからみんなより抱き心地いですよ」

「あ、あ、あ主殿、サジリーはすでに覚悟はできております!」

「イレド君、その、人体と心というのは実に不思議でな。ハグの効果は馬鹿にならないらしい」

「ごしゅじん様、だ、だ、だいすきですっ!」


 大丈夫かな、こんなかわいい子達をいつか僕は売れるのかな?

 いかんいかん、親バカって奴なのかな?


「そういえば、イレド様、先日千載一遇のチャンスを逃しましたものね」


 この前、スレサヴァさんに言われたのだ。誰か一人でも買い取りたいと。

 だけど、僕はその時心が弱っていたんだろう。言ってしまった。


『今回は、大好きな奴隷かぞくと一緒に旅行に来ただけなので売れません』


 って。

 ああー! だから、僕は、


「神クラスなのに一人も売れない奴隷商人なんだよなあ」

「大丈夫ですよ、イレド様」


 そんな僕にヴィーナ、そして、後ろにいるみんなが優しく微笑んでくれている。


「ご主人様は、私たち奴隷の事だけ考えてくださればいいのです」







神クラスの奴隷商人のハズが一人も売れません!  


完?

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神クラスの奴隷商人のハズが一人も売れません! だぶんぐる @drugon444

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