単純に、素晴らしい筆力

いや、これは凄い人が出てきた。

作品の中身はひとまず置いといて、筆力が凄い。これだけ書ける人は新人賞でも滅多に出てこないと思います。圧倒的に書き起こす力があり、細かな心の動きや主人公の思考を丹念に、そして無駄なく書いている。その筆力ゆえ、決して気取った書き方をしていないのに作品全体が瑞々しく、リリカルな青春の雰囲気を保ったまま物語が進行していく。まだ短いのに既にある種の傑作の風格が漂っている。凄い作品です。