高瀬舟
森鷗外/カクヨム近代文学館
高瀬舟は京都の
当時遠島を申し渡された罪人は、
そう云う罪人を載せて、
同心を勤める人にも、
そこで高瀬舟の護送は、町奉行所の同心仲間で、不快な職務として嫌われていた。
────────
いつの頃であったか。
それは名を
護送を命ぜられて、一しょに舟に乗り込んだ同心
庄兵衛は不思議に思った。そして舟に乗ってからも、単に役目の
庄兵衛はまともには見ていぬが、
庄兵衛は心の内に思った。これまで
────────
「はい」と云ってあたりを見廻した喜助は、何事をかお役人に
庄兵衛は自分が突然
喜助はにっこり笑った。「御親切に
喜助は
庄兵衛は「うん、そうかい」とは云ったが、聞く事
庄兵衛は
庄兵衛は今喜助の話を聞いて、喜助の身の上をわが身の上に引き比べて見た。喜助は
さて桁を違えて考えて見れば、鳥目二百文をでも、喜助がそれを貯蓄と見て喜んでいるのに無理はない。
喜助は世間で為事を見附けるのに
庄兵衛はいかに桁を違えて考えて見ても、ここに彼と我との間に、大いなる
一体
庄兵衛は只
庄兵衛は今さらのように驚異の目を
────────
庄兵衛は喜助の顔をまもりつつ又、「喜助さん」と呼び掛けた。今度は「さん」と云ったが、これは十分の意識を
「はい」と答えた喜助も、「さん」と呼ばれたのを不審に思うらしく、おそるおそる庄兵衛の
喜助はひどく恐れ入った様子で、「かしこまりました」と云って、小声で話し出した。「どうも
少し
喜助の話は
庄兵衛は
庄兵衛の心の
次第に
高瀬舟 森鷗外/カクヨム近代文学館 @Kotenbu_official
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