★★★ Excellent!!! 咎を運ぶ舟 佐々木広治 言わずと知れた高瀬舟。 縁起で書かれてあるように、財産に対する意識、安楽死についてをテーマに描かれてあるが。かといって、説教くさくなることなく、問いを立てるだけで 答えを示すわけではなく。 いかに魅力的な謎を提出できるか、がフィクションの肝でありもして、いい手本であり。 読みかえしてみて驚くのは、表現の巧みさ。細かいところに、創意がみられ。かつ生々しい。臨場感がある。 森鴎外の歴史ものは、非常によいと思う。 『最期の一句』、ことに『じいさんばあさん』もまた。関心をもたれた方は、お読みになってみては。 レビューいいね! 0 2023年9月14日 20:31
★★★ Excellent!!! 弟の願いが恐らく全て叶えられたということに、救いと咎の両方を感じる作品 陽澄すずめ このレビューは小説のネタバレを含みます。 全文を読む(261文字) レビューいいね! 1 2023年3月25日 17:33
★★★ Excellent!!! あなたはどう思いますか? と問われている。 キタハラ 角川文庫版では、本文のあとに「附高瀬舟縁起」という小文が収録されています。 この作品を読まれた方が思うであろうこと(僕は思いました)を、鴎外は同じように思ったようです。 1)財産(金)の問題 2)死にたい人を死なせてやることは罪なのか です。 学生時代に教科書で読んだ記憶がない(当時乱読していたときに読みました)ので、授業ではどんなふうに先生が解説するのか、気になるところです。 この作品の面白いところは、 罪人の喜助はこれまでの罪人たちとは違うことに、同心の庄兵衛は気づき、気になってしまう。 ↓ いったい喜助はどう言う心持ちなのか(謎)を知りたくて訊ねてしまう。 ↓ 喜助が島流しを苦にしていない理由が明かされ、そしてなぜ罪を犯したのかが語られる。 ↓ 庄兵衛は揺さぶられ、自身では(善悪の)判断がつかなくなってしまう。 という綺麗な流れ、そして問いかけです。 判断はお奉行様ではなく、わたしたちが下さなくてはなりません。即座に返すことのできない問いを提出すること、そして読者は一度抱えた問いを考え続けること。それが小説の面白みの一つであり、使命かもしれません。 レビューいいね! 0 2023年3月16日 00:52