弟の願いが恐らく全て叶えられたということに、救いと咎の両方を感じる作品

中学の国語で習った際にも教えられた通り、『安楽死』と『足るを知ること』をテーマとして扱った作品。
だが、改めて再読した今、少し違った印象を抱いた。

「一連の顛末を、弟の視点から見たらどうなのか」

兄の足枷になりたくなかった。ゆえに自死を選んだ。
うまく死に切れなかったのを、兄にとどめを頼んだ。
罪人とされた兄は、結果的に生活の安寧を手にした。

つまり、自身の死によって兄に救いが齎された、と捉えることができる。
それこそ弟の望みだったのではなかろうか。
そう考えると、この兄の背負ったものがますます重く感じられた。

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