一針に真心をこめて。新米店長の仕立て屋奮闘記

 お針子見習いの少女アイリスは仕事を求めて、同じ名前の「仕立て屋アイリス」の扉を叩く。店長のイクトが採用試験として出したのは、多忙な彼に代わって店長としてお店を切り盛りすることだった。

 突然、店長に抜擢されたアイリスですが、経営者どころかお針子としても新米の彼女は、針で指を刺したり、話を聞かずに注文を請けたり、生地の発注ミスをしたり、料金を受け取らずに品物を渡してしまったりと、失敗が続いてしまいます。

 そんなアイリスですが、お客様にとって重要なのは失敗の有無ではなく、あくまでも完成品の出来なんですよ。独創的なセンスと誠実な仕事ぶりが口コミで広まり、冒険者、騎士、踊り子、お嬢様、ついには王族までがお忍びで訪れる人気店になっていきます。

 アイリスの実力をイクトも認め、最後の試験として国をあげての仕立て屋大会へ挑むという矢先、都を騒がせる連続放火魔に家が放火されてしまい……。

 アイリスは困難を乗り越えて無事に採用されるのか。失敗にめげずに頑張る女の子の姿に元気がもらえる逸品です。


(「失敗からの成功」4選/文=愛咲優詩)