4日目

 翌日。


 依子は神社の蔵でみっつの子を産んだ。

 人間とも猫ともつかない赤毛のその子らは、産まれてすぐに立ち上がり、出産で力尽きた依子の骸と、隣で同じように力尽きている先代のサンコ様の骸を無心に食べている。

 全ての肉が無くなったとき、神主は子らを抱えて島民の前に姿を見せた。

 抱えられた子らの無垢な表情を見て、島民たちは感嘆する。

「ここに、代替わりが完了し、新たなサンコ様が誕生された。皆、よくよく丁寧にあたるように」

 神主の宣言に、島民は皆涙を流しながら拍手した。

 こうして愛入島伝統の祭は無事に幕を閉じたのである。

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あいる島へようこそ!~トロピカル因習アイランド~ 牧瀬実那 @sorazono

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