第5話 終焉

君が死んでいた。階段から落ちて。

僕は彼女の亡き骸を抱きしめた。

どうして、と嘆く前に前にも同じ経験をしたような気がする。

あの時はどうしたっけ。

僕はふらりと階段を登って行った。


屋上。

そこは風が強く吹いて立ってはいられない場所だった。

髪が乱れるのも臆せずフェンス側に歩いていく。

自殺したくなるフェンスの低さ、涼しい風が通る死ぬにはいい日。

「せーのっ」

僕は一線を、越えたーーーー


目が覚めるとそこは図書館へと通じる階段の脇の街路樹の植え込みだった。

ケータイで日付けを確認すると七月二十一日午後四時十分。

時が戻ってる。

これでまた君に会える。

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白黒の君と図書館 高々 ゆう @takadakasan

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