第35話 計画

レイヤから逃げ切った俺は、一旦世界樹跡のダンジョンに行って泉に行って水を補充。

そこからエアウォールに向かい。

風の壁を再びバグで突破し、天空城プッチョンへと戻って来ていた。


「ほわぁ……空の上に本当にお城なんてあったんですね」


「……」


ドワーブン姉妹と一緒に。


此処での目的は、勿論レベル上げだ。

だが同じレベリングでも、以前とは少し毛色が違う。

何故なら、レベルを上げるメインは俺ではなくレッカだからだ。


――名付けて、狂戦士強化計画。


これは俺が生き延びた事で、歪みの生じてしまったメインストーリー。

その補正としての計画である。


元々は俺のレベルを上げ、強くなって主人公の壁になる事で、彼らのレベリングを促すという迂遠うえんな作戦だった。

だがそんな遠回しな真似をするより、もっとダイレクトに主人公達を強化する方法が出来たのだ。


それは後々、主人公の仲間に加入するであろうレッカを強化する事。

他の面子が多少弱くても、此処で滅茶苦茶鍛えたレッカが無双すれば邪神戦も楽勝となるだろう。


因みに、レッカが主人公の仲間になるってのは確定事項だ。


現在立ち位置的に少々おかしな感じになってしまってはいるが、俺への借りを返すためという事で、彼女の邪神討伐参加への話はついている。

この前の救出劇でも姿を見られていない――レッカがそう判断して動いている――ので、加入面でも問題ないだろう。


「あの良く分からない魔物……とんでもない強さね。あれを狩るのは骨が折れそうだわ」


通路内にいるガーディアン・エンジェルを見つめ、レッカが厳しい表情をする。

彼女は腕利きの戦士なので、ぱっと見で相手の強さがある程度わかる様だ。


「いや、倒すのはあれじゃない。あいつは群れるからな。戦ったら命がいくつあっても足りない」


単体でなら、まあ倒せなくもないだろう。

だがガーディアン・エンジェルは、一体でも戦闘状態になると周囲の奴らも群がって来る仕様だ。

そうなると、囲まれてあっという間に昇天する羽目になる。


「狩るのはこの先にいるピンクの奴だ」


俺は姉妹を引き連れて、庭園を進む。

当然だが、ガーディアンとは接触しないように注意して。

触れると攻撃判定になってしまうからな。


まあ道は広いから、普通に歩いていれば早々ぶつかる様な事はないんだが……


ただ、ちょっと強めに注意したせいかメエラがガチガチに緊張してしまい。

そのせいか――


「っひゃあ!?」


「――っ!?」


――何もない所で急に蹴躓いて、危うくガーディアンにぶつかりそうになる。


咄嗟にレッカが首根っこを引っ掴んだから事なきを得たが、目ん玉飛び出るかと思ったわ。

あれで死んでたら、冗談抜きで笑い話にもならないぞ。


「危ないから手を繋ぐわよ」


「あ……う、うん。ありがとう、おねぇちゃん」


レッカが差し出す小さな手を、メエラがギュッと両手でつかむ。

微笑ましい光景である。

此処がデンジャーゾーンでなければ、ではあるが。


取り敢えず、俺も出来るだけメエラには気を使いながら進むとしよう。

こんな所で死ぬ気はさらさらないからな。

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悪役転生。ゲーム世界の山賊に転生しました~気づいたら主人公の姉を殺した後で……これ、どう考えても軌道修正無理じゃね?こうなったらもう逃げきるしかねぇ!~ まんじ @11922960

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