第6日


 怖い話が大変苦手なのだが、怖い映画を観た。

 どうも有名な話であるようだが、心理的瑕疵は直近のもののみ告知義務があるようだという話をされていたので、私とこの家のことを少し考えた。

 私とこの家はそこそこの付き合いがあり、その間怖い思いをしたような思い出は特にない。怖がりの私が怖くなく、「あれはなんだったんだろう」で済ませてしまえるようなことしか起こっていないのでたぶん、この家はほんとうに単純に破格の住まいなのだ。


 西向きの窓から赤ん坊の声がする。

 とはいえ、西向きの窓に赤ん坊がいるわけではない。

 時々私はとっくに死んでいるのではないかと思うことがあるが、歩く死体症候群というのを知ってからは「病気なら生きてるじゃん」と決着するし。


 つまり、赤ん坊と私はだいたい同じカテゴリの生き物なのだろうと思う。

 それか、生きてないものなのだ。

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