第2日


 三年間、どうして「西向きの窓」に気が付かなかったのかといえば、それは単純に西日がささないからだ。すぐそこに塀があるからだと思われる。


 西日がささないから、西だと思わない。

 同様に、陽が昇る方向も分からないので、東も分からない。

 ついでに言うと、他にも窓があるのだけれど「西向きの窓」の方をずっと向いているので、私にとってはこの方向がだいたい北と同じ感覚になる。


 三年間、北枕のつもりで寝ていた。実際は西枕だった。

 北を向くには部屋の幅が足りない。

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